卵巣がんWEB調査、卵巣がん患者さんは情報収集が困難、一般女性は卵巣がんの認識が低い

2021/11/22

文:がん+編集部

 卵巣がん患者さんと卵巣がんに罹患していない一般女性を対象に、卵巣がんに関するWEBアンケート調査をアストラゼネカが実施。卵巣がん患者さんは情報収集を困難と感じ、一般女性は卵巣がんに対する認識が低いという結果でした。

卵巣がん患者さん、医師からの治療説明を診察中に質問できず疑問を解決できないと回答

 アストラゼネカは10月21日、卵巣がんに関するWEB調査の結果を発表しました。卵巣がん患者さんの情報収集の実態と一般女性の卵巣がんに対する認識・理解度が明らかになりました。

 アストラゼネカは、10年以内に卵巣がんと診断された20代以上の卵巣がん患者さん111人と卵巣がんに罹患していない20~70代の一般女性1,314人を対象に調査を実施。卵巣がん患者さんに対する調査の目的は、卵巣がんに対する認識の把握と卵巣がんの情報収集の実態の確認、情報ニーズや困りごとの把握で、一般女性に対する調査の目的は、卵巣がんに対する認識および知識レベルの把握と、婦人科検診の受診状況を把握することでした。

 卵巣がん患者さんに対する調査結果では、97%の患者さんが卵巣がんに関する情報を自ら調べていることが確認され、医療情報関連サイトや病院ホームページ、患者さんのブログなど、情報収集源が多岐にわたることも判明。また、62%の患者さんが「情報収集時に困難を感じた」と回答しており、最も多かった回答が「信頼できる情報がどれだかわからなかった」(56%)、次いで「いろいろなサイトを見に行かなければならなかった」(39%)となりました。72%の卵巣がん患者さんが「情報が集約されている方が便利」と回答しており、患者さんは必要とする情報が医師の監修などがある信頼できるかたちで一か所にまとまって入手できる状態を望んでいることが確認されました。

 また、医師の治療内容の説明に対する患者さんの理解度と、患者さんから医師への質問や相談のしやすさに関する調査に関して、「医師からの説明において専門用語などが難しくその場ですぐに理解できなかった」「医師に質問や相談ができる雰囲気はあるものの、診察時間の制限などから質問や相談をするのに躊躇してしまった」として、半数を超える患者さんが、医師からの治療説明を診察時間の中で質問できず疑問が解決できなかったと回答しました。

 一般女性に対する調査では、約60%が婦人科検診を受けていないことが明らかとなり、婦人科検診を受けない主な理由としては「不調を感じていない」(43.6%)「必要性を感じていない」(23.4%)でした。一般的にがんの罹患のリスクが高くなるといわれる40代以降においても婦人科検診を受けていない女性が多く、年齢による大きな差はありませんでした。

 また、卵巣がんに対する知識に関しては、「卵巣がんに罹患した家族・親族がいることが卵巣がんの発症リスクに繋がる」と理解している人は、「乳がんに罹患した家族・親族がいると乳がんの発症リスクに繋がる」ことを理解している人と比較して22%低い結果でした。「発症しやすい年齢」「リスク要因」「自覚症状」のいずれの項目でも、乳がん/子宮頸がんと比較して「わからない」と回答した人が多く、卵巣がんに対する一般の認識・知識レベルの低さが確認されました。卵巣がんの自覚症状として考えられる「おなかの張り」「腹痛」など、おなか周りの不調を感じた際には、多くの人が婦人科ではなく内科を受診することも明らかとなりました。

 同社の執行役員 メディカル本部長の松尾 恭司氏は、次のように述べています。

 「調査結果から、卵巣がん患者さんにおいては、ほぼ全ての患者さんが自身で疾患に関する情報収集をしておられ、それに困難を感じておられる実態が明らかになりました。信頼できる正確な情報を手軽にかつ一か所で入手したいという明らかなニーズがある事が確認できました。また、卵巣がんに罹患されていない女性においては、卵巣がんに対する知識の向上と、婦人科検診の受診への意欲を高めていただく必要があることが分かりました。2人に1人はがんになると言われている現在、女性であれば卵巣がんリスクにも意識が向くよう、引き続き、卵巣がんの疾患啓発を続けていきたいと思います」