「レンビマ+キイトルーダ」併用療法、進行性腎細胞がんの一次治療としてECが承認

2022/01/06

文:がん+編集部

 「レンバチニブ(製品名:レンビマ)+ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)」併用療法が、進行性の腎細胞がんの一次治療として欧州委員会(EC)に承認されました。

「レンビマ+キイトルーダ」併用療法、スーテントと比較して病勢進行または死亡リスクを61%低下

 エーザイは2021年11月29日、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法が、成人の進行性腎細胞がんの一次治療としての適応で、ECから承認されたことを発表しました。今回の承認は、CLEAR(307)試験/KEYNOTE-581試験の結果に基づくものです。

 CLEAR(307)試験/KEYNOTE-581試験は、PD-L1の発現にかかわらず、明細胞型、その他の肉腫様型、乳頭状型などの組織学的特徴を含む進行性腎細胞がん患者さん1,069人を対象に、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法または「レンバチニブ+エベロリムス(製品名:アフィニトール)」併用療法をスニチニブ(製品名:スーテント)と比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、重要な副次的評価項目は全生存期間、奏効率でした。

 無増悪生存期間は、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法23.9か月、スニチニブ9.2か月で、病勢進行または死亡リスクが61%低下。全生存期間の解析でも、死亡リスクを34%低下したことがわかりました。奏効率は「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法が71%(完全奏効率16%/部分奏効55%)、スニチニブ36%(完全奏効率4%/部分奏効32%)でした。

 安全性に関して、30%以上で認められた副作用は、下痢(61.8%)、高血圧(51.5%)、疲労(47.1%)、甲状腺機能低下症(45.1%)、食欲減退(42.1%)、悪心(39.6%)、口内炎(36.6%)、蛋白尿(33.0%)、発声障害(32.8%)、関節痛(32.4%)でした。

 Merck & Co, Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. 研究開発本部 オンコロジークリニカルリサーチのバイスプレジデントであるGregory Lubiniecki博士は、次のように述べています。

 「我々は、エーザイと協業し、腎細胞がんを含む様々ながんにおける治療効果の改善を目指して、「キイトルーダ」と「レンビマ」の併用療法の臨床開発プログラムを推進しています。今回の承認により、 欧州の進行性腎細胞がんの患者さんに新たな治療オプションを提供するとともに、最も治療が困難ながんにおける免疫療法とチロシンキナーゼ阻害剤の併用療法の可能性を追求する研究の成果が確認されました」

 また、Eisai Inc. オンコロジービジネスグループ クリニカルリサーチのバイスプレジデントであるCorina Ductus医師は、次のように述べています。

 「腎細胞がんは、男性、女性に関わらず、腎臓における最も発生頻度の高いがんであり、今回の承認は、このがんにおける本併用療法の重要性を示しています。我々は、引き続き、がんとともに生きる方々に対するより良いケアを目指し、本併用療法を開発していくことに注力していきます。臨床試験にご協力いただいた多くの患者様とそのご家族、医療関係者の皆様に深く感謝いたします。皆様のおかげで我々は、今回の承認を取得できました」