リムパーザ、BRCA陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がんに対する術後化学療法としてFDAが承認

2022/04/05

文:がん+編集部

 オラパリブ(製品名:リムパーザ)を、BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がんに対する術後化学療法として米国食品医薬品局(FDA)が承認しました。

最新のデータ解析で、リムパーザはプラセボと比較して死亡リスクを32%低下

 アストラゼネカと米メルク社は2022年3月22日、術前または術後のいずれかに化学療法を受けた生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がん患者さんの術後薬物療法として、オラパリブがFDAから承認されたことを発表しました。今回の承認は、OlympiA試験の結果に基づくものです。

 OlympiA試験は、BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がんで、根治的な局所治療および術前または術後補助化学療法を完了した患者さんを対象に、術後化学療法としてオラパリブとプラセボを比較した第3相試験です。主要評価項目は無浸潤疾患生存期間、副次的評価項目は遠隔転移を伴わない生存期間、全生存期間、QOL、安全性などでした。

 主要評価項目の無浸潤疾患生存期間の定義は、無作為化から最初の局所領域再発、遠隔再発、新規がん発現、または死因を問わない死亡までの期間です。

 主要評価項目の解析では、オラパリブはプラセボと比較して無浸潤疾患生存期間の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示し、浸潤性乳がんの再発、二次がん、または死亡リスクを42%低下させました。

 また、最新データ解析では、オラパリブはプラセボと比較して全生存期間を統計学的に有意にかつ臨床的に意義のある延長を示し、死亡リスクを32%低下させました。安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一致していました。

 OlympiA試験運営委員会の委員長でありOncology at The Institute of Cancer Research, London and Kings College Londonの教授であるAndrew Tutt氏は、次のように述べています。

 「本日のリムパーザ承認は、特定の遺伝子型を有する乳がん患者さんにとってすばらしい知らせです。乳がんの多くは早期に診断され、多くの患者さんの転帰は良好ですが、診断時に高リスクと診断された患者さんは、がんの再発リスクが依然高く、新たな治療選択肢が必要です。OlympiA試験により、BRCA1/2遺伝子変異陽性の高リスク乳がん患者さんに対して、再発リスクを低下させ生存率を改善するリムパーザという新たな治療選択肢が示されました」