キムリア、再発または難治性の濾胞性リンパ腫の成人患者さんに対する効能・効果で国内承認
2022/09/21
文:がん+編集部
再発または難治性の濾胞性リンパ腫の成人患者さんに対するCAR-T細胞療法として、チサゲンレクルユーセル(製品名:キムリア)が国内承認されました。
ELARA試験の結果、完全奏効率69%で主要評価項目を達成
ノバルティス ファーマは2022年8月26日、CAR-T細胞療法「チサゲンレクルユーセル」が、再発または難治性の濾胞性リンパ腫の治療薬として厚生労働省から承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、ELARA試験の結果に基づくものです。
ELARA試験は、二次治療またはそれ以降の全身療法に再発または難治性の成人濾胞性リンパ腫患者さんを対象に、チサゲンレクルユーセルの有効性と安全性を評価した第2相試験です。主要評価項目は完全奏効率、主な副次的評価項目は全奏効率、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間、安全性などでした。
解析の結果、有効性の評価が可能だった患者さん94人の完全奏効率が69%で、主要評価項目を達成。全奏効率が86%、奏効が認められた患者さんのうち9か月時点での奏効維持率は76%で、持続的な奏効が確認されました。
安全性に関しては、安全性評価が可能だった患者さん97人で、これまでに認められている忍容可能な安全性プロファイルと一致していました。投与後8週間以内に患者さんの49%に、グレードを問わずサイトカイン放出症候群が発現しましたが、グレード3以上のサイトカイン放出症候群は認められませんでした。投与後8週間以内に患者さんの37%に、グレードを問わず神経系事象が発現しましたが、グレード3以上の神経系事象が認められた患者さんは3%でした。
一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパンの天野慎介 理事長は、濾胞性リンパ腫の課題を患者さんの視点から次のように述べています。
「濾胞性リンパ腫の治療は、近年、新しい治療薬の登場により選択肢が増えましたが、未だ治癒を目指すことは難しい状況です。患者さんは再発や、より悪性度の高いリンパ腫に変化する可能性と向き合いながら暮らしており、特に再発を繰り返している患者さんでは、治療選択肢が少なくなることへの不安も感じています。治療により、状態が良くなるだけでなく、より長く良い状態が続くこと、そして、最終的には治癒が期待できる治療薬が望まれています」