ハラヴェンと化学療法を比較した3つの第3相試験の事後解析結果をESMO年次総会で発表

2022/10/05

文:がん+編集部

 HER2低発現または陰性の転移性乳がん患者さんを対象に、エリブリン(製品名:ハラヴェン)と化学療法(治験医師選択療法、カペシタビンおよびビノレルビン)を比較した3つの第3相試験の事後解析結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会で発表されました。

全生存期間、無増悪生存期間、奏効率ともに、3つの試験でハラヴェン投与群全体と概ね同等

 エーザイは2022年9月12日、エリブリンと化学療法を比較した3つの第3相試験の事後解析結果に関する最新の知見をESMO年次総会で報告したことを発表しました。

 今回報告された3つの第3相試験は、EMBRACE試験/305試験、301試験、304試験です。3つの試験の対象となった患者さんは、アントラサイクリンおよびタキサンを含む化学療法の治療歴がある局所再発または転移性乳がんで、合計1,589人が参加しました。エリブリンと比較された対照薬は、301試験がカペシタビン、304試験がビノレルビン、305試験が治験医師選択薬でした。3つの試験の有効性評価項目は、全生存期間、無増悪生存期間、奏効率などでした。

 各試験の事後解析の結果、HER2低発現または陰性患者さんに対する全生存期間、無増悪生存期間、奏効率は、エリブリン投与群全体と概ね同等でした。

 同社チーフサイエンティフィックオフィサーである常務執行役大和隆志博士は、次のように述べています。

 「本事後解析では、HER2低発現の転移性乳がん患者様におけるアウトカムが、3つのピボタル臨床第3相試験の結果と一貫性があることが示されました。オンコロジーのサイエンスコミュニティにおいて転移性乳がんに対する理解が深まる中、我々は新たな状況における既存治療法の役割評価を継続して行い、医療専門家のナレッジ拡大に貢献していくことが重要です」