ヴァンフリタ、FLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病の一次治療薬としてFDAが優先審査に指定

2022/11/11

文:がん+編集部

 ギザルチニブ(製品名:ヴァンフリタ)が、FLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病の一次治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から優先審査に指定されました。

ヴァンフリタ、プラセボと比較して死亡リスクを22.4%低下

 第一三共は2022年10月25日、FLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病の一次治療薬として申請したギザルチニブの申請が、FDAに受理され優先審査の指定を受けたことを発表しました。今回の申請は、QuANTUM-First試験の結果に基づくものです。

 QuANTUM-First試験は、FLT3-ITD変異がある急性骨髄性白血病患者さん539人を対象に、「ギザルチニブ+化学療法」と「プラセボ+化学療法」を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は複合完全寛解率、完全寛解率、無イベント生存期間などでした。

 全生存期間の解析の結果、「ギザルチニブ+化学療法」は「プラセボ+化学療法」と比較して死亡リスクを22.4%低下しました。全生存期間の中央値はそれぞれ31.9か月と15.1か月でした。また、複合完全寛解率は「ギザルチニブ+化学療法」71.6%、「プラセボ+化学療法」64.9%、完全寛解率は「ギザルチニブ+化学療法」54.9%、「プラセボ+化学療法」55.4%でした。

 安全性に関しては、新たな安全性シグナルは認められませんでした。「ギザルチニブ+化学療法」と「プラセボ+化学療法」で認められたグレード3以上の主な有害事象はそれぞれ、発熱性好中球減少症(43.4%/41.0%)、好中球減少症(18%/8.6%)、低カリウム血症(18.9%/16.4%)、肺炎(11.7%/12.7%)でした。

 同社は、次のように述べています。

 「本申請は、2022年6月開催の欧州血液学会で発表された、FLT3-ITD変異を有する急性骨髄性白血病患者への一次治療を対象とした第3相臨床試験(QuANTUM-First)の結果に基づくものです。なお、本剤は、FDAよりFLT3-ITD変異を有する急性骨髄性白血病患者への一次治療を対象としてファストトラック指定を、また急性骨髄性白血病治療を対象としてオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を受けております。当社は、米国の急性骨髄性白血病患者さんへFLT3-ITD変異を有する急性骨髄性白血病治療における新たな選択肢を提供できるよう、努めてまいります」

※正常な血液細胞を造ることができるようになるか否かに関わらず、骨髄中の白血病細胞が骨髄全体の5%未満に減少した状態。