難治性胆道がんに対するナンブランラトを評価した国内第2相試験の結果がASCO GI 2023で発表
2023/02/10
文:がん+編集部
難治性胆道がんに対しL-タイプアミノ酸トランスポーター1(LAT1)阻害薬「 ナンブランラト」を評価した国内第2相試験の結果が、⽶国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム2023(ASCO GI 2023)で発表されました。主要評価項目である無増悪生存期間の改善が認められました。
ナンブランラト、プラセボと比較して病勢進行または死亡リスクを約44%低下
ジェイファーマ株式会社は2023年1月23日、難治性胆道がんに対しナンブランラトを評価した国内第2相試験の結果をASCO GI 2023で報告したことを発表しました。
今回発表された試験は、全治療歴のある進行性の難治性胆道がん患者さん106人を対象に、ナンブランラトとプラセボを比較した第2相試験です。参加した患者さんの83%が、標準的な化学療法および他の治験薬2剤以上に不耐性となった進行性の胆道がんでした。主要評価項目は、無増悪生存期間でした。
解析の結果、ナンブランラトはプラセボと比較して病勢進行または死亡リスクを約44%低下し、複数の全治療歴がある進行性の難治性胆道がん患者さんに対し単剤で有用な臨床効果を示すことが明らかになりました。安全性に関しては、ナンブランラト41.4%、プラセボ57.1%で有害事象が認められ、グレード3以上はナンブランラト30.0%、プラセボ22.9%でした。投与の中止や減量、脂肪につながる有害事象は認められませんでした。
神奈川県立がんセンター総長の古瀬純司医師は、次のように述べています。
「LAT1阻害薬のナンブランラトは、前治療歴のある進行性難治性胆道がん患者に対して、統計学的に有意な無増悪生存期間と良好な安全性プロファイルを示しました。胆道がんに対する2次治療以降の化学療法は非常に限られています。ナンブランラトは、標準治療に抵抗性を示す胆道がん患者の生存率向上に貢献することが期待されます」