がん遺伝子パネル検査「FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル」を検証するFIRST-Dx試験の結果を発表

2023/03/31

文:がん+編集部

 一次治療開始前の切除不能進行・再発固形がんを対象に、がん遺伝子パネル検査「FoundationOne(R) CDxがんゲノムプロファイル」を用いて、初回治療法選択におけるがん遺伝パネル検査の臨床的有用性を検証する先進医療Bの結果が発表されました。

エキスパートパネルによる推奨治療が約61.0%、推奨治療を約19.8%の患者さんに提供

 京都大学医学部附属病院は、がん遺伝子パネル検査「FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル」を用いて、一次治療開始前の切除不能進行・再発固形がんの初回治療法選択におけるがん遺伝パネル検査の有用性を検証することを目的に、先進医療Bとして実施してきた臨床研究「FIRST-Dx試験」の総括報告書が、厚生労働省先進医療技術審査部会で公開されたことを発表しました。

 がん遺伝子パネル検査が、2019年6月から保険診療で実施できるようになりましたが、その適応は「標準治療がない、もしくは終了した(終了見込み含む)症例」に限られています。そのため、がん遺伝子パネル検査の結果に基づく治療薬へのアクセスは、治験や先進医療など臨床試験で実施されている薬剤に限定されてしまうなど、治療に繋がる割合が低いことが課題とされています。

 今回の臨床研究は、消化器がん、肺がん、乳がん、婦人科がん(子宮、卵巣)、悪性黒色種を対象に、「化学療法未施行の切除不能進行・再発固形がんに対するマルチプレックス遺伝子パネル検査の有用性に関する臨床研究(FIRST-Dx試験)」を先進医療として国内6施設で実施されました。

 FIRST-Dx試験の結果、専門家による会議(エキスパートパネル)による推奨治療が約61.0%に認められ、観察期間中央値7.9か月と短いものの、実際にエキスパートパネルによる推奨治療を約19.8%の患者さんに提供されました。この割合は、現在の保険診療の条件である標準治療終了後のタイミングより約3倍と高く、初回のがん薬物治療選択におけるがん遺伝子パネル検査の有用性が示されたと考えます。