転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象に、「キイトルーダ+イクスタンジ+ADT」を評価するKEYNOTE-641試験が中止

2023/04/05

文:がん+編集部

 転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象に、「ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)+エンザルタミド(製品名:イクスタンジ)+アンドロゲン除去療法(ADT)」併用療法を評価するKEYNOTE-641試験が中止されました。

「キイトルーダ+イクスタンジ+ADT」、「プラセボ+イクスタンジ+ADT」と比べ2つの主要評価項目の改善を示さず

 米メルク社は2023年2月28日、KEYNOTE-641試験を中止したことを発表しました。

 KEYNOTE-641試験は、化学療法歴がなく、アビラテロン(製品名:ザイティガ)の投与歴がない、またはアビラテロンに不耐容また投与後に疾患進行が認められた転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象に、「ペムブロリズマブ+エンザルタミド+ADT」併用療法と「プラセボ+エンザルタミド+ADT」併用療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、無増悪生存期間、副次的評価項目は奏効率、奏効期間、安全性などでした。

 中間解析の結果、「ペムブロリズマブ+エンザルタミド+ADT」併用療法は「プラセボ+エンザルタミド+ADT」併用療法と比較して、2つの主要評価項目である全生存期間と無増悪生存期間の改善が認められませんでした。

 安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 同社研究開発本部シニアバイスプレジデントでグローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサーのEliav Barr博士は、次のように述べています。

 「キイトルーダの臨床開発を通して、当社はこの画期的な免疫療法の持っている力を信じて、一人でも多くの患者さんに貢献するため、あらゆる可能性を追及しています。サイエンスは因果が単純な一本線ではなく、様々な要因がからんでいます。このたびの試験結果は残念ですが、他の様々な難治性のがんを対象としてキイトルーダの研究を鋭意続行します。これらの試験に参加してくださるすべての治験責任医師と患者さんに心から感謝します」