亜塩素酸ナトリウムを用いた表在性膀胱がんに対する医師主導治験を開始
2023/08/15
文:がん+編集部
亜塩素酸ナトリウム「HM-001」を用いた表在性膀胱がんに対する医師主導治験が開始されました。
亜塩素酸ナトリウム、筋層非浸潤性膀胱がんの再発率を抑制、かつ従来の治療薬に比べ低刺激の治療法として期待
大阪大学大学院医学系研究科・医学部は2023年7月19日、亜塩素酸ナトリウム「HM-001」を用いた表在性膀胱がんに対する医師主導治験を介したことを発表しました。
今回紹介された医師主導試験は、経尿道的膀胱切除術(TURBT)でがん組織を切除した筋層非浸潤性膀胱がんを対象に、HM-001による再発抑制を評価する第1/2a相試験です。第1相試験パートではHM-001の安全性を確認し、将来の治療で用いる薬剤用量(推奨用量)を決定します。第2a相試験パートではパート1で決定した推奨用量を用い、TURBTから1年後の膀胱がんの非再発率を確認します。
亜塩素酸ナトリウムは、同大学で抗がん作用の研究が進められ、筋層非浸潤性膀胱がんの再発率を抑制し、かつ、従来の治療薬に比べて刺激性が低いことが期待されています。
同大学は本研究が社会に与える影響として、次のように述べています。
「膀胱がん診療ガイドラインで推奨されているTURBT後のBCGや抗がん剤の膀胱内注入療法では、膀胱内刺激が強いことから治療継続率は高くなく、非再発率も50~80%程度にとどまっています。TURBT後にHM-001を膀胱内に注入して膀胱内の刺激が弱いことが明らかになれば、従来の治療法に比べて治療継続率が高まり、更には膀胱がんの非再発率が高まることで、患者さんの予後およびQOL改善に繋がると期待されています」