「Truqap+フェソロデックス」、遺伝子変異があるHR+HER2-の局所進行・転移性乳がんの治療薬としてFDAが承認

2024/01/25

文:がん+編集部

 1つ以上の遺伝子変異(PIK3CA、AKT1、PTEN)があるHR陽性HER2陰性の局所進行性または転移性乳がんの治療薬として、「カピバセルチブ(製品名:Truqap)+フェソロデックス」併用療法が、米国食品医薬品局(FDA)より承認されました。

「Truqap+フェソロデックス」、「プラセボ+フェソロデックス」と比較して病勢進行または死亡リスクを50%低下

 アストラゼネカは2023年11月17日、カピバセルチブとフェソロデックスの併用療法が、1つ以上の遺伝子変異(PIK3CA、AKT1、PTEN)があるHR陽性HER2陰性の局所進行性または転移性乳がんの治療薬としてFDAから承認を取得したことを発表しました。転移性乳がんに対する内分泌療法を1レジメン以上受けた後に増悪、もしくは術後補助療法完了後12か月以内に再発した乳がん患者さんが対象となります。今回の承認は、CAPItello-291試験の結果に基づくものです。

 CAPItello-291試験は、CDK4/6阻害薬併用の有無にかかわらず、アロマターゼ阻害薬による治療中または治療後に再発または進行した、局所進行性(手術不能)または転移性HR陽性、HER2低発現または陰性の乳がん患者さん708人を対象に、「カピバセルチブ+フェソロデックス」併用療法と「プラセボ+フェソロデックス」を比較した第3相試験です。主要評価項目は全患者さんを対象とした無増悪生存期間、PI3K/AKT経路に変異がある患者さんに対する無増悪生存期間でした。

 試験の結果、PI3K/AKT経路の遺伝子変異がある乳がん患者さんにおいて、「カピバセルチブ+フェソロデックス」併用療法は、「プラセボ+フェソロデックス」と比較して病勢進行または死亡リスクを50%低下させました。それぞれの無増悪生存期間(中央値)は、7.3か月と3.1か月でした。

 米国Memorial Sloan Kettering Cancer Centerの 腫瘍内科医であるKomal Jhaveri氏は、次のように述べています。

 「HR陽性進行乳がん患者さんの多くは、標準一次治療の内分泌療法に対して病勢進行または治療耐性を示すため、さらに有効な治療の開発が急務です。カピバセルチブとフルベストラントの併用療法は、この機序の併用療法としては初めて、特定のバイオマーカーを有する、50%までのHR陽性進行乳がん患者さんに対し、必要性の高い新たな治療選択肢となり、病状をコントロールできる期間を延長できる可能性があります」