進行性膵消化管神経内分泌腫瘍の一次治療としてルタテラを評価したNETTER-2試験の結果を発表

2024/03/26

文:がん+編集部

 進行性膵消化管神経内分泌腫瘍を対象に、一次治療としてルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)(製品名:ルタテラ)を評価したNETTER-2試験の結果を発表。無増悪生存期間の延長が認められました。

「ルタテラ+オクトレオチドLAR」、オクトレオチドLARと比較して病勢進行または死亡リスクを72%低下

 ノバルティスは2024年1月19日、NETTER-2試験の結果を2024年米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウムで報告したことを発表しました。

 NETTER-2試験は、グレード2およびグレード3の膵消化管神経内分泌腫瘍患者さんを対象に、一次治療として「ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)+オクトレオチド長時間作用型(LAR)」併用療法とオクトレオチドLARを比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は客観的奏効率、病勢コントロール率、奏効期間、有害事象などでした。

 解析の結果、「ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)+オクトレオチドLAR」併用療法はオクトレオチドLARと比較して、病勢進行または死亡リスクを72%低減。無増悪生存期間の中央値は、それぞれ22.8か月と8.5か月でした。また、客観的奏効率は、それぞれ43%と9.3%でした。

 安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一貫していました。20%以上で認められた有害事象(ルテチウムオキソドトレオチド177Lu+オクトレオチドLAR併用療法/オクトレオチドLAR)は、悪心(27.2%/17.8%)、下痢(25.9%/34.2%)、腹痛(17.7%/27.4%)で、最もよく見られたグレード3以上の有害事象(5%以上)はリンパ球数の減少(5.4%/0%)でした。

 トロント大学医学部准教授であり、カナダ・オンタリオ州のサニーブルック健康科学センターにあるオデットがんセンターのSusan Leslie Clinic for Neuroendocrine Tumoursの共同設立者Simron Singh博士は、次のように述べています。

 「ルタテラに関するこれらの肯定的な結果は、診療に変化をもたらすものであり、重要なアンメットニーズを抱える患者さんに対して新たな一次治療のデータを提供するものです。本試験では、これら進行性膵消化管神経内分泌腫瘍と新たに診断された患者さんに対する一次治療としての放射性リガンド療法の臨床的ベネフィットが確認されました。本結果により、このような生命を脅かすがん患者さんに対する一次治療としてのルタテラの使用について、医師の信頼が得られるはずです」