イクスタンジ、生化学的再発のリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がんの適応追加を欧州が承認

2024/05/20

文:がん+編集部

 サルベージ放射線療法が適応とならない生化学的再発のリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がんの適応について、エンザルタミド(製品名:イクスタンジ)が欧州で承認されました。

「イクスタンジ+リュープロレリン」、「プラセボ+リュープロレリン」と比較して病勢進行または死亡リスクを57.6%低減

 アステラス製薬株式会社は2024年4月24日、エンザルタミドについて、サルベージ放射線療法が適応とならない生化学的再発のリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がんの適応追加を欧州委員会が承認したと発表しました。今回の承認は、EMBARK試験の結果に基づくものです。

 EMBARK試験は、生化学的再発のリスクが高い非転移性ホルモン感受性前立腺がんまたは非転移性去勢感受性前立腺がん患者さん1,068人を対象に、「エンザルタミド+リュープロレリン」併用療法またはエンザルタミド単剤療法と「プラセボ+リュープロレリン」を比較した第3相試験です。主要評価項目は「エンザルタミド+リュープロレリン」併用療法と「プラセボ+リュープロレリン」を比較した無転移生存期間、主な副次的評価項目はエンザルタミド単独療法と「プラセボ+リュープロレリン」を比較した無転移生存期間などでした。

 試験の結果、「エンザルタミド+リュープロレリン」併用療法は「プラセボ+リュープロレリン」と比較して病勢進行または死亡リスクを57.6%低減し、統計学的に有意な改善が認められました。また、エンザルタミド単剤療法は「プラセボ+リュープロレリン」と比較して病勢進行または死亡リスクを36.9%低減し、統計学的に有意な改善を認めました。

 安全性に関しては、重症度がグレード3以上の有害事象は、「エンザルタミド+リュープロレリン」併用療法46%、エンザルタミド単剤療法50%、「プラセボ+リュープロレリン」43%で報告されました。

 欧州泌尿器科学会は、2024年4月にガイドラインを改訂し、術後の放射線療法の有無に関わらず、根治的前立腺全摘除術後に生化学的再発リスクの高い非転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さんに対して、アンドロゲン除去療法との併用の有無にかかわらずエンザルタミドを推奨しました。