楽天メディカル、頭頸部がん患者さんへの適切な治療機会提供を目的にEGFRタンパク質検査データの無償提供を開始

2024/05/28

文:がん+編集部

 唾液腺がんを含む頭頸部がん患者さんに適切な治療機会を提供することを目的として、楽天メディカルがEGFRタンパク質検査データの無償提供を開始しました。

現状、頭頸部がんアルミノックス治療に対するEGFRタンパク質検査は保険適用外

 楽天メディカル株式会社は2024年5月13日、「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん」に対する頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)について、適切な治療機会の確保のため、希少疾患である唾液腺がんなどを含む頭頸部非扁平上皮がん患者さんにおけるEGFRタンパク検査データの無償提供を開始したことを発表しました。

 アルミノックス治療で用いられるセツキシマブ サロタロカンナトリウム(製品名:アキャルックス)は、がん細胞に発現しているEGFRタンパク質と結合するセツキシマブに光感受性物質IR700を付加した薬剤です。

 この治療法では、セツキシマブ サロタロカンナトリウムを投与し約24時間後に、医療機器レーザ装置「BioBladeレーザシステム」を使ってレーザ光を照射することで、薬剤が反応しがん細胞を死滅させます。頭頸部扁平上皮がんの細胞表面には、細胞の増殖を促す物質と結合して増殖のシグナルを生じるEGFRタンパク質が多く発現していますが、唾液腺がんなどの頭頸部非扁平上皮がんではEGFR発現はさまざまとされています。そのため、アルミノックス治療を検討する際には、各施設で事前にEGFRタンパク質の発現確認を行うことが日本頭頸部外科学会から推奨されています。しかし、セツキシマブ サロタロカンナトリウムに対するEGFRタンパク質検査は保険適用されていないため、検査費用の負担などは、各医療機関によって対応が異なっているのが現状です。

 同社は、次のように述べています。

 「患者さんが適時に適切な治療機会を得られるよう、医療用医薬品製造販売業公正取引協議会に相談の上、本検査データの無償提供を実施することとなりました。一人でも多くの頭頸部がん患者さんが適切な治療にアクセスできるよう、取り組んでまいります」