「キイトルーダ+化学療法」、進行または再発の子宮体がんの治療薬としてFDAが承認
2024/08/27
文:がん+編集部
進行または再発の子宮体がんの治療薬として、「ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)」が米国食品医薬品局(FDA)より承認されました。
「キイトルーダ+化学療法」、「プラセボ+化学療法」と比較して無増悪生存期間を統計学的有意に改善
米メルク社は2024年6月17日、進行または再発の子宮体がんの治療薬として「ペムブロリズマブ+化学療法」がFDAから承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、NRG-GY018(KEYNOTE-868)試験の結果に基づくものです。
NRG-GY018(KEYNOTE-868)試験は、測定可能病変があるステージ3、4A、または測定可能病変の有無を問わないステージ4B期および再発の子宮体がんの患者さん810人を対象に、「ペムブロリズマブ+化学療法」と「プラセボ+化学療法」を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間でした。
試験の結果、「ペムブロリズマブ+化学療法」は「プラセボ+化学療法」と比較して無増悪生存期間の統計学的有意な改善が認められました。ミスマッチ修復機構が正常(pMMR)な患者さんでは、病勢進行または死亡リスクを40%低減、ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の患者さんでは、病勢進行または死亡リスクを70%低減しました。全生存期間は、無増悪生存期間の解析時点では未達で、dMMRグループの死亡率は12%、pMMRグループの死亡率は17%でした。
安全性に関しては、重篤な有害事象が「ペムブロリズマブ+化学療法」35%、「プラセボ+化学療法」19%に発現しました。死亡に至った有害事象は「ペムブロリズマブ+化学療法」1.6%に発現し、COVID-19(0.5%)、心停止(0.3%)などでした。
また、14%の患者さんが有害事象によりペムブロリズマブを中止しました。化学療法の減量が必要となったのは、「ペムブロリズマブ+化学療法」29%、「プラセボ+化学療法」23%でした。化学療法の中止または休薬について臨床的に意味のある群間差は認められませんでした。「ペムブロリズマブ+化学療法」で発現した有害事象は、発疹(全グレードは33%、グレード3~4は2.9%)を除いては、ペムブロリズマブ単独療法または化学療法のみの場合とおおむね同様でした。
この試験の治験責任医師で、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部産科婦人科・生殖医学の准教授であり、同校附属病院San Diego HealthのMoores Cancer Centerの婦人科がん専門医であるラメズ N. エスカンデル博士は、次のように述べています。
「この試験は、抗PD-1抗体と化学療法の併用療法について、pMMRとdMMRの患者さんを2つの独立したコホートとして統計学的に評価した初めての第3相試験です。ペムブロリズマブの化学療法への追加は、ミスマッチ修復機構の状態にかかわらず化学療法のみの場合と比較して統計学的に有意で臨床的に意味のある無増悪生存期間の延長が認められ、進行または再発の子宮体がん患者さんの新しい一次治療の選択肢となります」