イクスタンジ、転移性ホルモン感受性前立腺がんに対する治験で無増悪生存期間を延長

2019/01/15

文:がん+編集部

 転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さんを対象とした治験で、エンザルタミド(製品名:イクスタンジ)が無増悪生存期間※1を有意に延長したと発表されました。

より早期の前立腺がん患者さんに対しても期待

  アステラス製薬株式会社は2018年12月21日、経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬エンザルタミドを使った治験の結果、無増悪生存期間を有意に延長したと発表しました。本治験は、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さんを対象とした国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照の第3相臨床試験ARCHES試験)です。

 ARCHES試験は、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さん1150人を対象にアンドロゲン除去療法とエンザルタミドを1日160mg投与した患者さんを比較して有効性と安全性を評価しました。主要評価項目は、画像診断による無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間などで評価されました。結果、無増悪生存期間を有意に延長し、予備的な安全性解析でも去勢抵抗性前立腺がんを対象としたこれまでの試験結果と同様だったそうです。

 アステラス製薬のニュースリリースでは「エンザルタミドは、現在、去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として、日本、米国、欧州などで販売されており、これまでに全世界で33万人以上の患者に投与されています。転移性ホルモン感受性前立腺がんなどの、より早期の前立腺がん患者さんへ本剤が届けられるよう、アステラス製薬はエンザルタミドの開発を着実に進めていきます」とコメントを発表。

 アステラス製薬は、ARCHES試験の結果を受けて、今後各国の規制当局と適応拡大に向けて協議し、ARCHES試験結果の詳細は、今後の学会などで発表する予定だそうです。

ARCHES試験

対象:転移性ホルモン感受性前立腺がん
条件:限局性で骨盤リンパ節に限定されない転移がある患者
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:国際共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照
登録数:1150人
治験群:エンザルタミド+アンドロゲン除去療法
対照群:プラセボ+アンドロゲン除去療法
主要評価項目:無増悪生存期間
副次的評価項目:全生存期間※2ほか

※1:奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。
※2:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。