オプジーボ、MSI-High大腸がんで一部変更の承認申請
2019/04/02
文:がん+編集部
ニボルマブ(製品名:オプジーボ)の効能・効果の一部変更の申請が行われました。がん化学療法後に増悪した、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する大腸がんに対するものです。
約7割の患者で12週以上の病勢安定
小野薬品は3月28日に、ニボルマブに対して、がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発のMSI-Highを有する結腸・直腸がんの効能・効果の追加に係わる製造販売承認事項の一部変更申請を行ったと発表しました。今回の承認は、多施設共同非盲検第2相臨床試験CheckMate-142試験のニボルマブ単剤コホートの結果によるものです。
CheckMate-142試験は、再発・転移性のMSI-HighまたはdMMRを有する結腸・直腸がんを対象とした治験です。対象は、フッ化ピリミジン系の抗がん剤を含む化学療法中、またはその後に進行もしくは忍容性がなかった患者さんです。対象の患者さんに、ニボルマブを2週間間隔で投与し、病勢進行もしくは忍容できない毒性の発現が認められるまで継続投与されました。
The Lancet Oncologyで発表された結果では、追跡期間中央値12か月で、客観的奏功率※1が31%、12週以上の病勢安定が見られた割合は69%で、奏効した患者さん全員が生存していました。グレード3または4の有害事象は、リパーゼ上昇・アミラーゼ上昇で、31%の患者さんが死亡しましたが、治療関連死ではありませんでした。
切除不能の結腸・直腸がんの約5%にMSI-Highが認められ、MSI-Highを有さない患者さんと比べると予後不良の傾向があり、標準治療であるフッ化ピリミジン系の抗がん剤を含む化学療法の有効性が乏しいという報告があります。今回の申請は、MSI-Highを有する切除不能の結腸・直腸がん患者さんの新たな治療選択となることが期待されます。
CheckMate-142試験ニボルマブ単独コホート
対象:再発・転移性大腸がん
条件:MSI-Highまたは非MSI-Highの患者
フェーズ:第2相臨床試験
試験デザイン:平行群間、非盲検
登録数:340人
実験群:ニボルマブ単独
主要評価項目:治験責任医師によるすべての客観的奏効率
副次的評価項目:IRRC決定に基づくすべての客観的奏効率
※1:完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。奏効例(完全または30%の部分消失)で治療中にがんが進行せず安定した状態の期間のことです。