オプジーボ、PD-L1発現レベルが1%以上の高リスク筋層浸潤性尿路上皮がんに対する術後補助療法としてECが承認
2022/05/02
文:がん+編集部
PD-L1発現レベルが1%以上の根治切除後の高リスク筋層浸潤性尿路上皮がんに対する術後補助療法として、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)が欧州委員会(EC)に承認されました。
オプジーボ、プラセボと比較して再発または死亡リスクを47%低減
ブリストル マイヤーズ スクイブ社は4月5日、PD-L1発現レベルが1%以上の根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がんの成人患者さんの術後補助療法として、ニボルマブをECが承認したことを発表しました。今回の承認はCheckMate-274試験に基づくものです。
CheckMate-274試験は、根治切除後の再発リスクが高い筋層浸潤性尿路上皮がん患者さん709人を対象に、ニボルマブとプラセボを比較した第3相臨床試験です。主要評価項目はITT集団※およびPD-L1 発現レベルが1%以上の患者さんに対する無病生存期間、主な副次評価項目は全生存期間、非尿路上皮無再発生存期間、疾患特異的生存期間です。
解析の結果、ニボルマブはプラセボと比べ全患者さんで、統計学的有意かつ臨床的に意義のある無病生存期間の改善が認められ、再発または死亡リスクを47%低減しました。
ニボルマブの忍容性は全体的に良好で、安全性プロファイルはこれまでに報告されているものと一貫していました。10%以上で認められた副作用は、疲労(45%)、筋骨格痛(31%)、下痢(26%)、咳嗽(24%)、発疹(24%)、悪心(23%)、そう痒症(19%)、食欲減退(18%)、便秘(17%)、呼吸困難(17%)、腹痛 (16%)、上気道感染症(16%)、関節痛(14%)、発熱(14%)、嘔吐(14%)、頭痛(13%)および浮腫(10%)でした。副作用の大半は軽度から中等度(グレード1~2)でした。
ラドバウド分子生命科学研究所の泌尿器腫瘍学教授であるFred Witjes医師は、次のように述べています。
「何年ものあいだ、筋層浸潤性尿路上皮がんの患者さんは、がんを切除できる早期段階で診断されたにもかかわらず、約半数の方が再発し、それを防ぐための安全で効果的な治療選択肢もほとんどないという痛ましい現実とともにありました。ニボルマブが承認されたことで、臨床医は、CheckMate-274試験で再発または死亡のリスクを有意に低減した術後の一定の患者さんに、免疫療法薬の治療選択肢を提供できるようになります。本承認により、欧州の筋層浸潤性尿路上皮がんの適格な患者さんの治療法が大きく変わる可能性があります」
※ITT(intention to treat)集団:臨床試験中に、治療から脱落した患者さんも含めた集団。