【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年6月23日)
2025/06/23
文:がん+編集部
ESR1陽性HR陽性進行乳がん対象、カミゼストラントを評価したSERENA-6試験の結果発表
アストラゼネカ株式会社は2025年6月6日、SERENA-6試験の結果を発表しました。
SERENA-6試験は、ESR1遺伝子変異陽性・HR陽性・HER2陰性の進行乳がん患者さんを対象に、「カミゼストラント+CDK4/6阻害薬(パルボシクリブ、ribociclib、またはアベマシクリブ)」併用療法と「AI(アナストロゾールまたはレトロゾール)+CDK4/6阻害薬」併用療法を比較した第3相試験です。
解析の結果、「カミゼストラント+CDK4/6阻害薬」は「AI+CDK4/6阻害薬」と比較して、病勢進行または死亡リスクを56%低減。また、生活の質の悪化までの期間においても有意な延長を示しており、「カミゼストラント+CDK4/6阻害薬」は「AI+CDK4/6阻害薬」と比較して47%の悪化リスク低減が認められました。
がんの栄養経路を阻害する新たな分子標的薬の開発に成功
大阪大学は2025年6月10日、がんの栄養経路を絶つ革新的精密医療の開発に成功したことを発表しました。
研究グループは、がん関連線維芽細胞(CAF)に高発現するニコチン酸アミドメチル化転移酵素(NNMT)を阻害する核酸医薬を開発。栄養素をエネルギーに変える仕組みを抑えることで腫瘍の縮小およびがんの再発を阻止し、疲弊したリンパ球を再活性化するよう設計されました。前臨床動物試験を実施した結果、腫瘍微小環境の改善や抗腫瘍効果を発揮する良好な結果が示されました。標準的ながん治療薬と併用することで、がんの「完全治癒」を目指すことが期待されます。
日本の実臨床に即した新たな希少がん分類「New Classification of Rare Cancers(NCRC)」を策定
国立がん研究センターは2025年6月10日、新たな希少がん分類を策定したことを発表しました。
研究グループは、日本においてがんの発生頻度が少ない臓器31部位のがんと、がんの発生頻度が多い臓器であるが発生頻度が少ない特定の組織型のがん364種を希少がんに分類。新たに策定した希少がん分類に従って、全国がん登録データを解析したところ、2016年~2019年に日本で診断されたがんの約2割が希少がんに該当し、希少がん全体で見ると決して数の少ないがんとは言えないことが判明しました。また、これまで用いられてきた欧州の希少がん分類では含まれていなかった希少がんも特定されました。
実臨床に即した希少がん分類を政策に活用することで、日本の希少がん対策の進展が期待されます。