イムブルビカ、「原発性マクログロブリン血症およびリンパ形質細胞リンパ腫」の効能・効果で国内申請

2022/05/17

文:がん+編集部

 イブルチニブ(製品名:イムブルビカ)が、「原発性マクログロブリン血症およびリンパ形質細胞リンパ腫」の効能・効果で国内申請されました。

イブルチニブ、単剤もしくはリツキシマブとの併用で臨床的に意義のある有効性と安全性を示す

 ヤンセンファーマは2022年4月25日、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブの「原発性マクログロブリン血症およびリンパ形質細胞リンパ腫」に係る製造販売承認申請を行ったことを発表しました。今回の申請は、PCYC-1127(iNNOVATE)試験、PCYC-1118E試験、WAL2002試験の結果に基づくものです。

 PCYC-1127(iNNOVATE)試験は、未治療または再発・難治性の原発性マクログロブリン血症の成人患者さん150人を対象に、「イブルチニブ+リツキシマブ」と「プラセボ+リツキシマブ」を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全奏効率、次治療開始までの期間、全生存期間、安全性などでした。無増悪生存期間の解析の結果、「イブルチニブ+リツキシマブ」は「プラセボ+リツキシマブ」と比較して、統計学的有意な延長が認められました。30か月時点での無増悪生存率は、それぞれ82%と28%でした。安全性に関しては、これまでに認められている各薬剤の安全性プロファイルと一致していました。

 PCYC-1118E試験は、治療歴のある再発・難治性の原発性マクログロブリン血症の成人患者さん63人を対象に、イブルチニブの有効性と安全性を評価した第2相試験です。主要評価項目は全奏効率でした。試験の結果、全奏効率は90.5%で主要評価項目を達成しました。全体として、治療の忍容性は良好でした。

 WAL2002試験は、未治療または再発・難治性の原発性マクログロブリン血症の20歳以上の日本人患者さんを対象に、「イブルチニブ+リツキシマブ」の有効性と安全性を評価した第2相試験です。主要評価項目は全奏効率、副次的評価項目は無増悪生存期間、薬物動態、安全性などでした。試験の結果、「イブルチニブ+リツキシマブ」は有効性評価項目全体で速やかにかつ高度な臨床上の活性が認められ、良好な安全性プロファイルが示され、iNNOVATE試験で確認されたものと概ね一致していました。

 イブルチニブは、BTKを阻害する分子標的薬です。BTKは、B細胞が成熟し抗体を産生するよう指示する重要なシグナルを伝達し、特定のがん細胞の増殖やがんの進展のために必要とされるタンパク質です。イブルチニブは、BTKを選択的に阻害することで、がん細胞の生存やがんの進展を抑制すると考えられています。

 同社の代表取締役社長である關口修平氏は、次のように述べています。

 「原発性マクログロブリン血症およびリンパ形質細胞リンパ腫は、いまだに治癒困難な疾患です。今回の申請は、これらの患者さんのアンメットニーズに対処するための重要な一歩であり、日本の患者さんに革新的な治療をもたらすという私たちのコミットメントをさらに強くするものです」