局所進行性のdMMRがある直腸がんを対象にJemperliを評価した第2相試験の結果を発表
2024/07/19
文:がん+編集部
局所進行性のミスマッチ修復機能欠損(dMMR)のある直腸がんを対象に、ドスタルリマブ(製品名:Jemperli)を評価した第2相試験の結果を発表。継続的な100%の完全奏効率が認められました。
Jemperli、投与を完了した42人の患者さんで100%の臨床的完全奏効を示す
グラクソ・スミスクライン社2024年6月3日、局所進行性のdMMRのある直腸がんを対象にドスタルリマブを評価した第2相試験の結果を2024年米国臨床腫瘍学会年次総会で報告したことを発表しました。
今回報告された臨床試験は、dMMRのあるステージ2または3の直腸がん患者さんを対象に、手術に代わる初回治療としてドスタルリマブの有効性と安全性を評価する第2相試験です。この試験では、ドスタルリマブ療法後に臨床的完全奏効が得られていない場合には標準化学放射線療法と手術を行い、ドスタルリマブ療法完了後に臨床的完全奏効が得られた場合は、化学放射線療法と手術は行わないという計画で実施されました。主要評価項目はドスタルリマブ療法完了後 12か月の時点での臨床的完全奏効の持続またはドスタルリマブ療法完了後の化学放射線療法の施行を問わない病理学的完全奏効と、ドスタルリマブ術前補助療法による化学放射線療法の施行を問わない全奏効などでした。
解析の結果、ドスタルリマブの投与を完了した42人の患者さん全員に臨床的完全奏効が認められました。MRI、18F-フルオロデオキシグルコース陽電子放射断層撮影、内視鏡検査、直腸指診、生検のいずれでも残存腫瘍は認められませんでした。また、最初に評価された24人の患者さんは、追跡期間中央値26.3か月の時点でも臨床的完全奏効が持続していました。
安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと概ね一致しており、グレード 3 以上の有害事象も報告されませんでした。
MSKの大腸がん部門長、若年性大腸がん・消化器がんセンター共同センター長であり、本第2相試験の治験責任医師であるアンドレア・セルセック医師は、次のように述べています。
「これらの結果は、ドスタルリマブがdMMRを有する局所進行性直腸がんの新たな治療法として、日々の生活を脅かすような治療を必要とすることなく、持続的かつ完全に腫瘍を退縮させる可能性を示しています。臨床医の立場から、dMMRを有する直腸がんの標準治療の影響で患者さんがQOLの低下により活力を失っていくのを直接目にしており、このような患者さんへのドスタルリマブの可能性が見出されたことを嬉しく思います」