「マントル細胞リンパ腫治療における現在の治療方針とアンメットニーズ」メディアセミナーレポート
2024/09/17
文:がん+編集部
マントル細胞リンパ腫治療の現在の治療におけるアンメットニーズや、新たな治療選択肢についてのメディアセミナーが開催されました。
ジャイパーカ、既存BTK阻害薬と結合部位が異なるため次治療でも一定の効果が期待できる
日本新薬株式会社は2024年9月5日、「マントル細胞リンパ腫治療における現在の治療方針とアンメットニーズ」と題したメディアセミナーを開催、公益財団法人がん研究会有明病院血液腫瘍科部長の丸山大先生による講演が行われました。
悪性リンパ腫の罹患数は、全てのがん種のうち男女ともに10位以内で決して珍しくはありませんが、マントル細胞リンパ腫は、全てのリンパ腫のうち日本では2~3%とされる希少がんです。骨髄浸潤や消化管浸潤の頻度が高く、初診時にはステージ4という患者さんも多く、治癒が難しいリンパ腫です。
造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版では、再発・難治性のマントル細胞リンパ腫に対しては、イブルチニブ、ベンダムスチン、ボルテゾミブ単剤、あるいはリツキシマブとの併用やGDP療法などの多剤併用療法が推奨されています。この中でイブルチニブなどの共有結合型BTK阻害薬は近年早い段階で治療に用いられることが多くなっています。しかし、BTK阻害薬中止後の次治療の継続期間の中央値は1.54か月で、マントル細胞リンパ腫に対する既存のBTK阻害剤後の治療がアンメットニーズとなっています。
ピルトブルチニブ(製品名:ジャイパーカ)は、他の共有結合型BTK阻害薬に抵抗性または不耐容の再発または難治性のマントル細胞リンパ腫患者さんを対象に、ピルトブルチニブを1日1回経口投与し有効性と安全性を評価した第1/2相試験「BRUIN-18001試験」の良好な結果に基づき、2024年6月に承認され、同年8月に発売されました。ピルトブルチニブは、既存のBTK阻害薬と結合部位が異なるため、次治療でも一定の効果が期待できます。また、BTKに対する選択性が高いため、減薬なく治療を継続できることがBRUIN-18001試験で確認されました。
丸山大先生は講演の中で、「再発・難治性のマントル細胞リンパ腫は、治癒が困難な疾患で、多くの患者さんが再発しますが、そうした中で、既存のBTK阻害薬治療後でも一定の効果が期待できる薬剤が登場したことは患者さんにとっても福音となると思います」と述べられました。