イミフィンジ、切除可能な非小細胞肺がんに対する周術期の治療薬としてFDAが承認
2024/09/30
文:がん+編集部
切除可能な非小細胞肺がんに対する、周術期の治療薬としてデュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)を米国食品医薬品局(FDA)が承認しました。
「イミフィンジ+化学療法」、「プラセボ+化学療法」と比較して再発・進行または死亡リスクを32%低下
アストラゼネカは2024年8月16日、「デュルバルマブ+化学療法」が、EGFR遺伝子変異またはALK融合遺伝子が確認されていない、切除可能な早期非小細胞肺がんの治療薬としてFDAから承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、AEGEAN試験の結果に基づくものです。
AEGEAN試験は、PD-L1発現の有無を問わず、切除可能なステージ2A~3Bの非小細胞肺がん患者さん802人を対象に、周術期治療としてのデュルバルマブとプラセボを比較した第3相試験です。手術前に3週間ごとに1,500mgの固定用量のデュルバルマブと化学療法、またはプラセボと化学療法を4サイクル受け、さらに手術後にデュルバルマブまたはプラセボを4週間ごとに(最大12サイクル)投与されました。主要評価項目は病理学的完全奏効と無イベント生存期間、主要な副次評価項目は、病理学的奏効、無病生存期間、全生存期間、安全性、QOLなどでした。
中間解析の結果、「デュルバルマブ+化学療法」の周術期治療は、「プラセボ+化学療法」と比較して再発・進行または死亡リスクを32%低減し、無イベント生存期間の統計学的有意かつ臨床的に意義のある改善が認められました。また、病理学的完全奏効の最終解析では、「プラセボ+化学療法」の場合の4.3%に対し、「デュルバルマブ+化学療法」は17.2%でした。
安全性に関しては、忍容性は概ね良好で、これまでに報告されている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
テキサス大学アンダーソンがんセンターの胸部/頭頸部腫瘍科教授および科長であるJohn V. Heymach医学博士は、次のように述べています。
「今回の承認は、化学療法と手術を受けた後でも高い再発率に長年にわたり直面してきた切除可能な非小細胞肺がん患者さんへ、標準的な併用アプローチとなりうる重要な新しい治療選択肢をもたらします。デュルバルマブを手術の前後に追加した場合、治癒を目指す治療において、患者さんの転帰に有意かつ意義ある改善をもたらしました」