【週刊】がんプラスPickupニュース(2024年11月18日)
2024/11/18
文:がん+編集部
加熱式たばこ、紙たばこと同様の細胞毒性を持つことが判明
横浜市立大学は2024年10月30日、加熱式たばこ煙の毒性について研究した結果を学術雑誌に報告したことを発表しました。紙巻きたばこと加熱式たばこからニコチンとタールを取り除いた成分(ガス相抽出物)を抽出し、ヒトの細胞に対する毒性を比較。その結果、加熱式たばこの煙は高濃度で細胞死を引き起こすことが分かり、紙タバコと同様に細胞毒性を持つことが判明しました。また、この細胞への毒性は活性酸素種や細胞内カルシウムシグナル伝達経路によって引き起こされる可能性が示されました。さらに、低濃度の場合は、がん細胞の増殖を促進する可能性が示されました。
非小細胞肺がんを対象にダトポタマブ デルクステカンを評価する3つの第3相臨床試験を開始
第一三共株式会社は2024年10月31日、非扁平上皮非小細胞肺がん患者さんを対象とした3つの第3相臨床試験(TROPION-Lung10、TROPION-Lung14、TROPION-Lung15) において、最初の患者さんにダトポタマブ デルクステカンの投与を開始したことを発表しました。
TROPION-Lung10試験は、Actionable遺伝子変異がなくPD-L1発現率が50%以上の局所進行または転移性の非扁平上皮非小細胞肺がん患者さんを対象に、一次治療として、「ダトポタマブ デルクステカン+Rilvegostomig」併用療法およびRilvegostomig単剤療法をペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)単剤療法と比較します。
TROPION-Lung14試験は、EGFR変異がある局所進行または転移性の非扁平上皮非小細胞肺がん患者さんを対象に、一次治療として、「ダトポタマブ デルクステカン+オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)併用療法とオシメルチニブ単剤療法を比較します。
TROPION-Lung15試験は、オシメルチニブによる前治療歴のあるEGFR変異がある局所進行または転移性の非扁平上皮非小細胞肺がん患者さんを対象に、ダトポタマブ デルクステカンおよび「ダトポタマブ デルクステカン+オシメルチニブ」併用療法とプラチナ製剤をベースとした2剤併用化学療法を比較します。
周術期乳がんを対象に、新規薬剤開発に関する持続的なプラットフォーム試験「S-FACT試験」を開始
国立がん研究センターは2024年11月6日、日本初の乳がんプラットフォーム試験「S-FACT試験」を開始したことを発表しました。プラットフォーム試験は、単一の疾患に対して複数の新規治療を同時に評価するために持続的なプラットフォーム(基盤)を構築し、試験期間中に新たな治療法の追加や除外を認める仕組みがとられています。S-FACT試験では、ステージ2~3の乳がん患者さんを対象に、術前化学療法の有効性が評価されます。乳がんにおける新規治療開発の新たなシステムが構築され、日本の患者さんに迅速に新規薬剤が提供されることが期待されます。