乳がん補助内分泌療法中の血管運動神経症状に対しfezolinetantを評価する臨床試験を開始

2024/10/01

文:がん+編集部

 補助内分泌療法中の乳がん患者さんの中等度から重度の血管運動神経症状に対する経口の非ホルモン治療剤fezolinetantを評価するHIGHLIGHT(TM) 1試験が開始されました。

fezolinetant、ホットフラッシュや寝汗の軽減を目的に開発中の経口非ホルモン治療薬

 アステラス製薬株式会社は2024年8月27日、HIGHLIGHT 1試験で最初の患者さんへの投与を開始したことを発表しました。

 HIGHLIGHT 1試験は、ステージ0~3のホルモン受容体陽性で補助内分泌療法中による中等度から重度の血管運動神経症状がある乳がん患者さん540人を対象に、fezolinetantとプラセボを比較する第3相試験です。主要評価項目は、中等度から重度の血管運動神経症状の頻度と重症度のベースラインからの変化量で、投与後4週時点と12週時点で評価されます。患者さんは52週間治療を受け、最終評価は55週目に行われます。

 ホットフラッシュ(顔のほてり・のぼせなど)や寝汗などをはじめとする血管運動神経症状は、乳がんの補助内分泌療法の最も一般的な副作用として知られています。乳がん患者さんの約77%は、タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬などを用いた補助内分泌療法を受けており、最大97%が、ホットフラッシュや寝汗を経験しています。

 fezolinetantは、KNDy(キスペプチン/ニューロキニンB/ダイノルフィン)ニューロンに結合するニューロキニンB(NKB)をブロックし、脳の体温調節中枢(視床下部)のバランス回復を助け、ホットフラッシュや寝汗の回数や重症度を軽減すると考えられている開発中の経口非ホルモン治療薬です。

 同社のVice President兼Head of BioPharma DevelopmentであるMarci English氏は、次のように述べています。

 「血管運動神経症状は、補助内分泌療法中の乳がん患者の生活の質や治療の継続に悪影響を及ぼす可能性があるものの、現在承認された治療法は存在しません。このアンメットメディカルニーズの充足に向けた第3相HIGHLIGHT 1試験を開始できることを嬉しく思います」