【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年2月25日)

2025/02/25

文:がん+編集部

治療歴のない局所進行・転移性尿路上皮がんを対象に、PADCEVを評価したEV-302試験の追跡調査結果を発表

 アステラス製薬株式会社は2025年2月12日、EV-302試験の主要解析から12か月後の追加調査(追跡期間の中央値:29.1か月)結果を発表しました。

 EV-302試験は、治療歴のない局所進行・転移性尿路上皮がん患者さん886人を対象に、「エンホルツマブ ベドチン(製品名:PADCEV)+ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)」併用療法と化学療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は、全生存期間、無増悪生存期間、副次評価項目は、客観的奏効率、奏効期間、安全性などでした。

 解析の結果、「エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ」併用療法は、化学療法と比較して死亡リスクを49%、病勢進行または死亡リスクを52%低下させ、長期にわたる有効性を示しました。安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと同様で、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

BRAF融合遺伝子陽性膵臓がんまたは低悪性度神経膠腫を対象とした医師主導オンライン治験を開始

 国立がん研究センターは2025年2月12日、BRAF融合遺伝子陽性の膵臓がんまたは低悪性度神経膠腫を対象とした医師主導治験を開始したことを発表しました。

 今回の医師主導治験は、参加を希望する患者さんの希望に応じて自宅近くの医療機関と国立がん研究センター中央病院がパートナー契約を締結し、その医療機関で治験に必要な検査や中央病院とのオンライン診療を行うオンライン治験です。

 オンライン治験の導入により、地方在住の希少がん患者さんの治験参加における時間的・経済的負担が軽減し、治験へのアクセスが劇的に改善するのみならず、参加を希望する患者さんの早期登録と速やかな臨床開発につながることが期待されます。

飲酒によって食道がんが多発するメカニズムを解明

 京都大学は2025年2月14日、飲酒による食道がんが多発するメカニズムを解明したことを発表しました。

 WHOの下部組織IARC(世界がん研究機関)は、アルコール飲料に含まれるエタノール代謝産物「アセトアルデヒド」を明らかな発がん物質としています。食道がんは世界でアジア地域に特に多く発生しますが、日本人を含むアジア人に、アセトアルデヒドの代謝能の低い不活性型2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)を有する人が多いからと考えられています。

 さらに、食道がんは多発すること(フィールドがん化現象)が知られていますが、この現象がなぜ発生するかはこれまで不明でした。

 研究グループは、ALDH2機能低下と食道特異的ながん抑制遺伝子TP53機能欠失を有する動物モデルを作製し、長期のアルコール投与を行うことで食道がん多発の症状を再現することに成功。また、(1)アルコール飲酒、(2)ALDH2機能低下、(3)がん抑制遺伝子TP53の機能欠失の3つが食道がんの発生に関わる重要な因子として特定されました。今後、食道がん予防法を開発するために重要な知見となることが期待されます。