【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年4月14日)

2025/04/14

文:がん+編集部

がんに対する免疫応答増強、キラーT細胞を活性化する細胞外小胞「AP-EV」を開発

 金沢大学は2025年3月31日、細胞が分泌する微粒子であるエクソソームを人工的に改変し、がん特異的キラーT細胞を選択的に活性化する改変エクソソームの開発に成功したことを発表しました。

 エクソソームは、直径約100ナノメートルの細胞膜でできた小さな小胞で、タンパク質や核酸などを含んで細胞外に分泌され、細胞間の情報伝達を担う働きがあります。研究グループは、エクソソームを産生する細胞を遺伝子改変し、エクソソーム上にキラーT細胞を活性化するための3つの分子(抗原刺激、補助シグナル分子、IL-2)を同時に搭載した「抗原提示小胞(AP-EV)」を作製。培養実験およびマウスを用いた実験で、AP-EVはがん細胞を特異的に殺傷するキラーT細胞を選択的に活性化し、がんに対する免疫応答を著しく増強することが確認されました。さらに、ヒトのT細胞を活性化する「ヒト化AP-EV」も開発し、ヒトのがん抗原に応答するキラーT細胞を効果的に増殖させることに成功しました。

HER2陽性胃がん対象、一次治療としてエンハーツを評価するDESTINY-Gastric05試験開始

 第一三共株式会社は2025年4月1日、HER2陽性の胃がんまたは胃食道接合部腺がんを対象に、一次治療としてトラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)を評価するDESTINY-Gastric05試験を開始したことを発表しました。

 DESTINY-Gastric05試験は、PD-L1陽性・HER2陽性の治癒切除不能な進行・転移性胃がんまたは胃食道接合部腺がん患者さん(576人予定)を対象に、一次治療として「トラスツズマブ デルクステカン+フルオロピリミジン+ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)」と「トラスツズマブ+化学療法+ペムブロリズマブ」を比較する第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、重要な副次評価項目は全生存期間、その他の副次評価項目には客観的奏効率、安全性などが含まれます。

日本人の乳がんサバイバーを調査、がん以外で発症しやすい病気が判明

 筑波大学は2025年4月1日、乳がんサバイバーが、同年齢の一般女性と比較して、がん以外の12種類の代表的な病気「心筋梗塞、心不全、心房細動、脳梗塞、脳出血、肺塞栓症、骨粗鬆症性の骨折、その他の骨折、消化管出血、肺炎、尿路感染症、うつ・不安」にかかるリスクがどの程度異なるかを明らかにした研究結果を発表しました。

 2万4,017人の乳がんサバイバー(平均年齢50.5歳)と9万6,068人の同年齢の一般女性を比較した結果、乳がんサバイバーは、心不全、心房細動、骨粗鬆症性の骨折、その他の骨折、消化管出血、肺炎、尿路感染症、うつ・不安にかかるリスクが一般女性に比べ高いことが判明。また、これらの病気の多くは乳がんの診断から比較的早期(1年以内)に発症するリスクが高い一方、骨折については時間が経ってから発症するリスクが上昇することが示されました。