【週刊】がんプラスPickupニュース(2025年4月21日)

2025/04/21

文:がん+編集部

多発性骨髄腫、患者さんと診療する医師が掲げる治療目標のギャップ

 Johnson & Johnsonは2025年4月4日、多発性骨髄腫の患者さん63人と多発性骨髄腫を診療する医師105人を対象に、2025年3月に実施されたインターネット調査の結果を発表しました。

 多発性骨髄腫において疾患とともに歩む期間が長くなる中、患者さんが大事にしていることに時間を充て、充実した気持ちで過ごすことを考慮した治療目標を持つことも重要であると考えられます。その認識や実態を明らかにするため、今回の調査が実施されました。

 調査の結果、患者さんは、治療目標として「多発性骨髄腫になる前となるべく変わらない生活を送る」を挙げる人が最も多く51%を占め、次に「自分の好きなこと、やりたいことを楽しむ、続ける」で48%、そして「長く生きる」が40%でした。

 医師が掲げる治療目標は、「全生存期間の延長」65%、「無増悪生存期間の延長」60%、「副作用有害事象をなるべく抑えコントロールすること」35%を挙げる人が多く、医師と患者さんでは、掲げる治療目標に大きなギャップが見られました。

 その一方、90%以上の医師と患者さんが「長期に治療を継続する上で、治療目標の共有は重要である」と回答し、治療目標にギャップがあるものの、お互いに治療目標を共有することの重要性を認識していることも示されました。

女性の健康管理、APAC8か国・地域の意識調査結果を発表

 ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社は2025年4月7日、4月9日の子宮の日にあわせて女性の健康や検査に関する意識調査の結果を公表しました。同調査は、日本を含むアジア太平洋(APAC)の8つの国と地域で、25歳~50歳の女性3,473人を対象に実施されたインターネット調査です。

 調査の結果、子宮頸がん検査または検診に関して、あなたはどの程度の知識をお持ちですか?という問いに対し、「知識が豊富だと思う(3%)」、「ある程度の知識があると思う(23%)」と回答した日本人は3割を下回り、APACの8つの国と地域中で最も低い結果となりました。女性の健康に関連する検査や臨床検査に関する知識においても、「あまり知識はないと思う」「全く知識はないと思う」という回答がいずれも7割を上回りました。日本を対象に、学校で習ったことのある女性の健康に関するトピックを聞いた結果、「子宮や子宮頸がん」は14%、「健康診断に関する情報」は7%にとどまっていることがわかりました。また、これまでに子宮頸がんの検査を受けたことがないと回答した日本人女性にその理由を尋ねたところ、「恥ずかしい」「痛みを伴うことが不安」が上位となりました。

がんゲノム情報から作製の樹状細胞ワクチン治療、膵臓がん患者さんへの効果が判明

 九州大学は2025年4月9日、膵臓がん患者さんのがんゲノム情報から見つけたがん細胞の目印「ネオアンチゲン」を利用し開発された、個別化ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンによる治療を実施した研究結果を発表しました。

 同研究では、16人の膵臓がん患者さんにおいて、患者さんごとのがんゲノム情報と採取した樹状細胞から作製した、個別化ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンによる治療を実施。16人中13人 (81.3%) の患者さんでネオアンチゲン特異的なCD8陽性T細胞およびCD4陽性T細胞を誘導できることが判明しました。また、再発後にネオアンチゲン樹状細胞ワクチン治療を行った9人の患者さんのうち、ネオアンチゲン特異的T細胞が誘導できた患者さんでは長期的な生存が認められることを確認。再発予防の術後補助療法としてネオアンチゲン樹状細胞ワクチン治療した7人の患者さんでは、中央値5年間の経過観察中に再発が認められたのは1人のみであり、全員が生存していることが明らかになりました。

 研究グループは、「今後、より多くの患者さんを対象とした前向き臨床試験での検証が必要と考えています」と述べています。