第3世代ALK阻害薬ローブレナが米国でも承認

2018/12/10

文:がん+編集部

 第3世代のALK阻害薬ロルラチニブ(製品名:ローブレナ)が、米国食品医薬局に承認されました。日本では、世界に先駆け承認されています。

ALK阻害薬の治療後病勢進行したALK陽性転移性非小細胞肺がんに対する適応

  ファイザー株式会社は11月30日、ロルラチニブ米国食品医薬局に承認されたと発表しました。クリゾチニブ(製品名:ザーコリ)と1種類以上のその他のALK阻害薬を使用し病勢進行が認められるか、ALK阻害薬による1次治療としてアレクチニブ(製品名:アレセンサ)またはセリチニブ(製品名:ジカディア)を使用し、病勢進行が認められたALK陽性転移性非小細胞肺がんに対する適応です。

 今回の承認の基となった試験は、B7461001試験です。同試験は、1種類以上のALK阻害薬による治療歴があるALK陽性転移性非小細胞肺がんを対象としたロルラチニブを評価する無作為化、用量設定、抗腫瘍活性探索、マルチコホート、多施設共同の第 1/2相試験です。この試験では、215人の患者さんが前治療に基づき複数のサブグループに割り付けられました。試験の結果、全体の奏効率※1は48%。57%の患者さんは、2レジメン以上のALK阻害薬による前治療歴がありました。また、69%の患者さんに脳転移があり、頭蓋内病変の奏効率は60%だったそうです。

 ロルラチニブは、第3世代のALK阻害薬です。ALK阻害薬は、第1世代のクリゾチニブ、第2世代ではアレクチニブ、セリチニブ、ブリグチニブが承認されています。ALK陽性の転移性非小細胞肺がんは、ALK阻害薬に奏功を示しますが、その後の多くで病勢進行が認められます。クリゾチニブの治療後、病勢進行が認められても第2世代のALK阻害薬が使われますが、第2世代のALK阻害薬の治療後に病勢進行した場合の治療選択は限られていました。ロルラチニブの承認により、引き続き経口薬での治療が可能になりました。

 マサチューセッツ総合病院胸部がんセンター所長で、ハーバード大学医学大学院内科学教授のAlice T. Shaw氏(MD、PhD)は、「過去10年間に、ALKバイオマーカーに基づく第1・2世代のTKI治療により、ALK陽性転移性非小細胞肺がんの治療は目覚ましく発展しました。それでも、薬剤抵抗性を生じることでほぼすべての患者さんで再発が見られ、多くの患者さんで脳転移の悪化または新たな発現を認めます。脳転移の有無にかかわらず患者さんを組み入れたローブレナの臨床試験において、他のALK-TKI治療に抵抗性を示したALK陽性転移性非小細胞肺がんに対して、ローブレナは臨床活性を示しました」とコメントしています。

※1:治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。