急性骨髄性白血病治療薬FLT3阻害薬「ゾスパタ」が米国で発売
2018/12/20
文:がん+編集部
急性骨髄性白血病の治療ギルテリチニブ(製品名:ゾスパタ)が米国で発売されました。日本でも2018年9月21日に、FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病に対する製造販売承認が取得され、2018年12月3日に発売されています。
米国食品医薬品局が初めて承認した経口FLT3阻害薬
アステラス製薬株式会社は12月11日、急性骨髄性白血病治療薬FLT3阻害薬ギルテリチニブ(製品名:ゾスパタ)を米国で発売したことを発表しました。成人の再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病の治療薬として、米国食品医薬品局が初めて承認した経口FLT3阻害薬です。コンパニオン診断薬による検査で確認されたFLT3遺伝子変異陽性の患者さんを対象としています。
ギルテリチニブは、 FLT3とAXLを標的とした分子標的薬です。FLT3は、造血前駆細胞の増殖と生存、早期B前駆細胞の分化にかかわる受容体チロシンキナーゼです。AXL受容体は、抗がん剤などの耐性・抵抗性に関わる受容体です。ギルテリチニブは、FLT3とAXLの2つの受容体を阻害することで、シグナル伝達を抑制し、がん細胞の増殖を抑制します。FLT3の遺伝子変異は、急性骨髄性白血病患者さんの約1/3で認められています。
ギルテリチニブの承認申請には、国際共同第3相試験ADMIRAL試験の中間解析における完全寛解(CR)と部分的血液学的回復を伴う完全寛解(CRh)の結果に基づいています。
ADMIRAL試験
対象:急性骨髄性白血病
条件:1次治療後に再発または1次治療抵抗性のFLT3遺伝子変異陽性の成人患者
フェーズ:第3相臨床試験
試験デザイン:非盲検、多施設無作為化
試験群:ギルテリチニブ
登録数:371人
対照群:救援化学療法
主要評価項目:全生存期間※1、CR、CRh
※1:患者さんの亡くなった原因ががんによるかどうかは関係なく、生存していた期間のことです。