再発または転移性の頭頸部がんに対する1次治療、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を評価する臨床試験

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治験

ニボルマブ及びイピリムマブの第3相試験

疾患解説:頭頸部がん

頭頸部がんは、文字通り「頭部」と「頸部(首の部分)」、脳より下鎖骨より上にできたがんの総称です。主な種類は、咽頭がん、口腔がん、喉頭がん、鼻、副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどがあります。咽頭は、さらに詳細に上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分類されます。脳腫瘍は、頭頸部がんには分類されません。 頭頸部がんのうち口腔がん、咽頭がんの罹患数は、2013年の国立がん研究センターのがん登録・統計によると男性で約13200人、女性で約5800人、男女合計で約19000人、全部位の約2%程度です。死亡数も男性で約5000人、女性で約2000人、合計で約7000人と、部位別でみると比較的少ないがん種ですが、発生原因や治療法、予後が異なるのが特徴です。 頭頸部がんのほとんどは、扁平上皮という組織ががん化したものです。がんが発生した器官の違いによって症状はさまざまです。口腔がんである舌がんでは、舌がしみたり痛みがあるなどの症状があることもありますが、ほとんどの頭頸部がんでは初期には自覚症状がみられないこともあります。首のしこりやのどの違和感など、すこしでも気になる症状があれば検査を受けることが大切です。

治験薬:ニボルマブ

ニボルマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:イピリムマブ

イピリムマブは、抗CTLA-4抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 イピリムマブは、がん細胞を攻撃する活性化T細胞とT細胞を制御する制御性T細胞状に発現するCTLA-4と抗原提示細胞状に発現しているCD80とCD86との結合を阻害することで、がんを攻撃するT細胞を増強します。また、がん細胞を攻撃するT細胞を抑制する制御性T細胞を抑制することで、がん免疫反応を促進させます。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 1. 組織学的に頭頸部扁平上皮がんであることが確認されている原発巣が口腔、中咽頭、下咽頭及び喉頭のいずれかで、根治目的の治療の適応とならない患者
  • 2. 再発又は転移性頭頸部扁平上皮がんに対する全身性抗がん療法の治療歴のない患者(ただし,登録6か月以前に化学療法を終了した患者は除く)
  • 3. CTかMRIによる画像評価で測定可能病変がある患者
  • 4. PD-L1の発現状態を確認する腫瘍組織があり、中咽頭がんにおいてはHPV-p16状態が確認できる患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 1. 再発または転移性の鼻咽頭がん、原発不明の扁平上皮がん、皮膚及び唾液腺由来の扁平上皮がんまたは非扁平上皮がん(粘膜悪性黒色腫など)であることが,組織学的に確認された患者
  • 2. 抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、または特異的にT細胞共刺激経路もしくは免疫監視機構を標的とする他の抗体もしくは薬剤、セツキシマブまたはEGFR阻害薬による治療歴を有する患者
  • 3. 活動性の自己免疫疾患,I型糖尿病、ホルモン補充療法を必要とする甲状腺機能低下症、活動性感染、精神疾患を有する患者
  • 4. 血液,腎または肝機能が不適切である患者

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
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試験概要詳細

試験の名称ニボルマブ及びイピリムマブの第3相試験
試験の概要再発又は転移性SCCHN患者において,一次治療としてのnivolumabとipilimumabの併用療法とExtremeレジメンを比較すること
疾患名頭頸部がん
試験薬剤名オプジーボ(ニボルマブ)、ヤーボイ(イピリムマブ)
用法・用量静脈内投与
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン多施設共同非盲検無作為化試験
目標症例数700
適格基準
  • 1. 組織学的にSCCHNであることが確認されており,原発巣が口腔,中咽頭,下咽頭及び喉頭のいずれかであり,根治目的の治療の適応とならない患者
  • 2. 再発又は転移性SCCHNに対する全身性抗がん療法の治療歴のない患者(ただし,登録6カ月以前に化学療法を終了した患者は除く)
  • 3. 画像評価(CT又はMRI)による測定可能病変を有する患者
  • 4. PD-L1の発現状態を確認する腫瘍組織があり,中咽頭がんにおいてはHPV-p16状態が確認できる患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 1. 再発又は転移性の鼻咽頭がん,原発不明の扁平上皮がん,皮膚及び唾液腺由来の扁平上皮がん又は非扁平上皮がん(粘膜悪性黒色腫など)であることが,組織学的に確認された患者
  • 2. 抗PD-1抗体,抗PD-L1抗体,抗CTLA-4抗体,又は特異的にT細胞共刺激経路若しくは免疫監視機構を標的とする他の抗体若しくは薬剤,セツキシマブ又はEGFR阻害薬による治療歴を有する患者
  • 3. 活動性の自己免疫疾患,I型糖尿病,ホルモン補充療法を必要とする甲状腺機能低下症,活動性感染,精神疾患を有する患者
  • 4. 血液,腎又は肝機能が不適切である患者
主要な評価項目・全生存期間(OS)
・無増悪生存期間(PFS)
主要な評価方法
主要な評価項目無病生存率
主要な評価方法治験開始から3年間の無病生存率を調査する
副次的な評価項目・奏効率(ORR)
・奏効期間(DOR)
・PD-L1の発現が有効性評価の予測バイオマーカーであるかを評価すること
副次的な評価方法
予定試験期間2016年8月~2020年3月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより