キイトルーダ単剤、胃がん初回治療として標準治療に対し非劣性

2019/07/09

文:がん+編集部

 進行胃腺がんまたは食道胃接合部がんに対する初回治療としてペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)を評価した最終結果で、ペムブロリズマブ単剤は標準治療である化学療法に対して非劣性を認めましたが、化学療法併用では優越性が認められませんでした。

キイトルーダ+化学療法では、全生存期間の優越性は示せず

米メルク社は6月1日に、進行胃腺がんまたは食道胃接合部がんの初回治療として、ペムブロリズマブを評価した第3相臨床試験KEYNOTE-062試験の結果を、米国臨床腫瘍学会で発表しました。
KEYNOTE-062試験は、PD-L1陽性、HER2陰性の進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者763人を対象に行われました。ペムブロリズマブ単剤群256人、ペムブロリズマブ+化学療法(シスプラチン+5-FUまたはカペシタビン)併用療法群257人、プラセボ+ペムブロリズマブ+化学療法群250人の3つのグループに分けられ、疾患進行または許容できない毒性が認められるまで治療を継続しました。主要評価項目は、ペムブロリズマブ単独群と化学療法併用群でPD-L1陽性(CPS≧1、≧10)の患者さんの全生存期間、化学療法併用群でPD-L1陽性(CPS≧1)の患者さんの無増悪生存期間でした。
本試験の結果、PD-L1陽性(CPS≧1)の患者さんの全生存期間では、ペムブロリズマブ単独療法で非劣性が認められました。PD-L1高発現(CPS≧10)のサブグループでは、ペムブロリズマブ単独群は、化学療法のみの群と比較して全生存期間の改善は認められましたが、正式な評価は未実施。ペムブロリズマブ+化学療法群では、統計学的に有意な全生存期間の改善は、認められませんでした。
スペイン・バルセロナのVall d’Hebron University Hospital and Institute of Oncology腫瘍内科の責任者であるJosep Tabernero博士は「胃がんは深刻な疾患で、従来、治療の難しい種類のがんとされています。2018年は世界で80万人近くの患者が亡くなり、2019年には米国で約1万1,000人が亡くなると推測されています。この試験でペムブロリズマブの単独療法は初回治療として良好でしたが、ペムブロリズマブと化学療法の併用療法では統計学的に有意な全生存期間の改善は認められず、さらなる研究が必要」と、述べています。