エレクタ社、MRI搭載の放射線治療機器の製造販売承認取得-記念講演会レポート

文:がん+編集部

 エレクタ社は、MRIを搭載した放射線治療機器「Elekta Unity MR リニアックシステム」(以下 エレクタ ユニティ)の販売承認取得を記念して講演会を開催。この機器により、治療直前および照射中にリアルタイムで腫瘍の位置や輪郭を正確にとらえて治療することが可能になります。

がんを見ながら治療ができる、新しい放射線治療

 放射線治療において、より高精度で患者さんにやさしい治療が求められています。そのためには、腫瘍や周辺の重要機器の位置・形状・動きをより正確に把握することや、治療中に患部の状況をリアルタイムに把握することが、治療システムに求められていました。

 「エレクタ ユニティ」は、磁場を発生するMRIと放射線を照射するリアニックを一体化させた放射線治療機器。オランダのユトレヒト大学医療センターの長年の研究成果に基づき可能になった、次世代の放射線治療ソリューションです。画像診断で広く使⽤されている⾼画質な 1.5 テスラ MRI と、このプロジェクトのために⼀から作り上げられた⾼精度リニアックを、⾼度なソフトウェアが⼀元管理。毎回の治療直前や照射中の重要臓器の位置も把握することができるので、腫瘍のみに照射することができます。照射中の腫瘍や重要臓器の移動・変形を確認して、必要に応じて照射を中断できるのも特徴です。

 7月26日に行われた講演会で最初に登壇したのは、ウィスコンシン大学医学部放射線腫瘍科のムサディク・アワン先生です。同氏は、「エレクタ ユニティ」による治療経験に関して講演。「MRIを搭載した放射線治療機器は、有望な新しいテクノロジーですが、患者さんをマシン上に固定して治療するため、まだプロセスを学ぶ必要があります。ワークフローを作成し、治療時間の短縮、患者さんの治療中の負担の軽減などフレキシブルな治療戦略のプランニングを検討しています。また、新しいイメージングバイオマーカーの開発につながる可能性もあります。腫瘍の変化による線量の正当性などもこれからの課題です」と、話しました。

 続いて、「MRIガイド下の高精度放射線治療」をテーマとしたパネルディスカッションが行われました。モデレーターは、東京大学医学部附属病院放射線治療部門長の中川恵一先生。日本の放射線治療を代表する2人の医師、千葉大学大学院医学研究院画像診断・放射線腫瘍学教授の宇野隆先生、東北大学大学院医学系研究科放射線腫瘍学分野教授の神宮啓一先生、さらにムサディク・アワン先生も講演に続いて登壇。従来の放射線治療と比較した、MRIを搭載した新しい放射線機器のメリットや課題について、次のような議論が行われました。

 「従来の放射線治療は、皮膚につけた目印だけを頼りに行っていましたが、X線やCTを使ったIGRT(画像誘導放射線治療)になり、臓器や腫瘍の変形や位置を確認して、毎回行えるようになったのは画期的なことでした。X線ではコントラストがはっきりしない軟部組織でも、CTではある程度分かるようになりました。4次元CTでは最終確認はできますが、リアルタイムで確認することはMRIでなければできません。MRIで見ながら行える放射線治療は、腹部、骨盤領域のがんに対して、的確に放射線が当たっていることが分かるようになったのが画期的です。そのため、これまで難治性といわれていたがんにも光明が差す可能性があります。また、日本の放射線医療の現場では、医師、医学物理士※が足りておらず、1人がMRIにつきっきりになることは難しいのが現状です。そのため、機器やシステムの改善による治療時間の短縮などが必要です。従来は外科医のみが直接病変と正常組織を目で見て区別し、治療を行うことができますが、放射線医もMRIを通してリアルタイムに病変と正常組織を見て治療を行えるようになったのは、大きなメリットです」。

※医学物理士-放射線医学における物理的・技術的課題の解決に携わる、認定試験および認定審査に合格した者。