最新がん3年・5年生存率を公表-国がん
2019/08/26
文:がん+編集部
最新のがん3年生存率と5年生存率が発表されました。3年相対生存率は72.1%、5年相対生存率は66.1%で、前回より若干改善傾向です。
3年相対生存率72.1%、5年相対生存率66.1%
国立がん研究センターは8月8日、全国のがん診療連携拠点病院などから集計した院内がん登録による、最新のがん3年生存率と5年生存率を発表しました。調査は、3年生存率においては全国286施設、33万9,376例、5年生存率においては全国277施設、56万8,005例が対象となりました。部位別、性別、年齢階級別に、がんの進行状況などをまとめたものです。それぞれの生存率は、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた実測生存率と、がん以外の死因による死亡の影響を取り除いた相対生存率(※完全には取り除けていない可能性を含む)が公表されました。
3年生存率は、2012年にがんと診断された患者さんの3年経過後の生存率です。全がんの3年実測生存率は67.2%(前回66.3%)、相対生存率は72.1%(前回71.3%)でした。今回の3年生存率に関する集計では、胃、大腸、乳房、肝臓、肺、食道、膵臓、前立腺、子宮頸部、子宮体部、膀胱の11部位に加え、患者さんなどの要望があった咽頭、胆のう、腎、腎盂尿管の4部位が追加集計されました。さらに、全15部位の病期別の3年生存率も集計されています。具体例としては、咽頭がん1期96.0%、2期90.2%。腎臓がん1期98.5%、2期94.3%。腎盂・尿管がん1期90.1%と、早期では90%以上という結果でした。難治性といわれる胆のう膵臓がんでも、根治切除が可能な1期は91.1%、2期では77.4%と比較的良好な結果でした。
5年生存率は、2009~2010年にがんと診断された患者さんの、治療の目安となる5年を経過した生存率です。実測生存率は58.6%(前回58.5%)、相対生存率は66.1%(前回65.8%)という結果でした。胃、大腸、乳房、肝臓、肺、食道、膵臓、前立腺、子宮頸部、子宮体部、膀胱の11部位を集計。患者背景により大きく変動するため、生存率と併せて、都道府県および施設の特徴、性別、年齢、病期、手術の有無、組織型(肺がんのみ)も提示されています。
5年相対生存率については、都道府県が行う「地域がん登録」と全国がんセンター協議会(全がん協)による「院内がん登録」による2つが既存集計として公開されています。院内がん登録のデータベースは、4つの効果が期待されています。
・当該病院のがん治療の情報を的確に把握し、治療の評価をし、他病院の評価と比較することでがん医療の質の向上が図られること ・専門的ながん医療を提供する医療機関の実態把握ができること ・適切に情報を公表することで、がん患者さんとご家族などの医療機関の選択に役立つこと ・行政において、がん対策の企画立案やがん医療の分析および評価を行われることで、がん対策の充実が図られること
がん医療の透明性を確保し、医療の質の向上を目的として、「院内がん登録」情報が活用されることが望まれます。