未治療の進行膀胱がん、テセントリク+化学療法で死亡リスク低下

2019/08/21

文:がん+編集部

 未治療の進行または転移性膀胱がんに対するアテゾリズマブ(製品名:テセントリク)+白金製剤ベースの化学療法併用と化学療法単独を比較した治験で、病勢進行または死亡リスクが低下しました。

がん免疫療法をベースにした併用療法で良好な結果を示す

 ロシュ社は8月5日、アテゾリズマブに対する第3相臨床試験IMvigor130試験で、主要評価項目の1つである無増悪生存期間の延長を達成したと発表しました。

 IMvigor130試験は、転移病変に対する全身薬物療法を受けていない転移性尿路上皮がん患者さん1,213人を対象に、アテゾリズマブ+白金製剤ベースの化学療法(シスプラチンまたはカルボプラチン+ゲムシタビン)併用、アテゾリズマブ単独、プラセボ+白金製剤ベースの化学療法の3群に分けて比較し、主要評価項目の無増悪生存期間と全生存期間で評価した臨床試験です。尿路上皮がんは最も一般的な膀胱がんの組織型であり、膀胱がんの約90%を占めます。

 中間解析の結果、アテゾリズマブ+白金製剤ベースの化学療法の併用療法が、アテゾリズマブ単独に比べて、統計学的に有意な病勢進行または死亡リスクの減少を示しました。全生存期間については、改善の兆候は認められるものの、解析可能なイベント数に達していないため、今回は評価せず、次に計画されている解析まで引き続きフォローアップを継続するそうです。アテゾリズマブ+化学療法併用に対する安全性は、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと同様で、併用による新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 同社の最高医学責任者兼国際開発責任者のSandra Horning博士は「IMvigor130試験は、進行が早くアンメットメディカルニーズの高い未治療の局所進行また転移性膀胱がんに対し、がん免疫療法をベースにした併用療法が初めて良好な結果を示した第3相臨床試験です」と、述べるとともに「本試験の成績は、膀胱がんに対するテセントリクの有用性を示すことを目指したロシュの豊富な臨床開発プログラムと、患者さんの転帰を改善するために、免疫療法と化学療法をはじめとした他の薬剤との併用療法の検討を行う私たちのアプローチを後押しするものです。本成績について、規制当局と議論することを楽しみにしています」と、述べています。

 日本においてアテゾリズマブは、2018年4月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果として販売を開始し、同年12月に「化学療法未治療の扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対する用法・用量の追加について承認を取得しています。現在、乳がんおよび小細胞肺がんに対する適応拡大を申請中です。