イミフィンジ、進展型小細胞肺がんの治験で全生存期間を延長

2019/10/09

文:がん+編集部

 デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)が、治療歴のない進展型小細胞肺がんに対する治験で、全生存期間を有意に延長しました。

イミフィンジ+化学療法、死亡リスク27%減少

 アストラゼネカは9月9日、治療歴のない進展型小細胞肺がん患者さんを対象とした第3相臨床CASPIAN試験の結果を発表しました。デュルバルマブと化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)併用療法が、化学療法単独と比較して、全生存期間を統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました。

 CASPIAN試験では、デュルバルマブ+化学療法併用と化学療法単独、およびデュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法併用と化学療法単独を比較した無作為化非盲検国際多施設共同第3相臨床試験です。併用療法の化学療法は4サイクルまで、化学療法単独では最長6サイクルおよび、予防的頭蓋内照射の実施が認められていました。

 本試験の結果、全生存期間の中央値は、デュルバルマブ+化学療法で13.0か月、化学療法単独で10.3か月、死亡リスクを27%減少させましたことがわかりました。治療後12か月時点での無増悪生存期間の割合は、併用群17.5%に対して単独群4.7%、客観的奏効率でも併用群67.9%に対して単独群57.6%と、併用群で有効性が認められました。

 併用療法の安全性に関しては、これまでに認められていた安全性および忍容性と一致していました。併用群で見られたグレード3または4の有害事象の割合は61.5%に対し、単独群は62.4%で、有害事象により治療を中止した患者さんの割合は、どちらも9.4%と同様でした。

 スペイン・マドリッドのHospital Universitario Doce de Octubreの医学博士および腫瘍内科責任者であり、CASPIAN試験の治験責任医師であるLuis Paz-Ares氏は「小細胞肺がんの5年生存率はわずか6%と低く、非常に深刻な疾患でありながら治療オプションは限られていました。イミフィンジがわずか4サイクルの化学療法との併用で、6サイクルまで使用可能であった化学療法単独群に対して生存期間を大幅に延長したことは、新たな治療選択肢のエビデンスとなり、患者さんの希望にもつながります」と、述べています。

CASPIAN試験結果の概要

デュルバルマブ+化学療法化学療法
全生存期間
死亡数(%)155(57.8%)181(67.3%)
ハザード比
(95%信頼区間)
0.73(0.591,0.909)
P値0.5%
全生存期間中央値
(95%信頼区間)
13.0
(11.5,14.8)
10.3
(9.3,11.2)
生存割合
(18か月)
33.9%24.7%
無増悪生存期間
イベント発現患者数
(%)
226(84.3%)233(86.6%)
ハザード比
(95%信頼区間)
0.78(0.645,0.936)
無増悪生存期間(月)
(95%信頼区間)
5.1(4.7,6.2)5.4(4.8,6.2)
無増悪生存割合
(12か月)
17.5%4.7%
客観的奏効率
奏効患者数(%)182(67.9%)155(57.6%)
オッズ比
(95%信頼区間)
1.56(1.095,2.218)
奏効持続患者割合
(12か月)
22.7%6.3%