BTK阻害薬チラブルチニブ、2治験の結果を米国血液学会で発表

2019/12/26

文:がん+編集部

 ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬「チラブルチニブ」を用いた2つの治験の結果が米国血液学会(ASH)で発表されました。

ONO-4059-05試験で6か月時点の無増悪生存率/全生存率ともに100%

 小野薬品工業は12月9日、BTK阻害薬「チラブルチニブ」について、「ONO-4059-02試験」と「ONO-4059-05試験」の臨床試験の結果を、ASHで報告したことを発表しました。

 ONO-4059-02試験は、再発または難治性の中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)患者さん44人を対象とした多施設共同非盲検非対照国内第1/2相試験です。チラブルチニブ320mgを20例に、480mgを7例に、480mgを空腹時に17例と振り分けられ、いずれも1日1回の投与を病勢進行または共用できない毒性が認められるまで継続されました。

 その結果、全対象患者さんの全奏効率は63.6%で、320mg投与では60.0%、480mg投与では100.0%、480mg空腹時投与では52.9%でした。無増悪生存期間の中央値は、2.9か月で、投与群別では、2.1か月、11.1か月、5.8か月でした。全生存期間の中央値は未達です。

 グレード3以上の有害事象は、好中球減少症、リンパ球減少症、白血球減少症、多形紅斑が高頻度に認められました。

 ONO-4059-05試験は、原発性マクログロブリン血症(WM)およびリンパ形質細胞リンパ腫(LPL)患者さん27人を対象とした多施設共同非盲検非対照国内第2相試験です。18人は未治療で、9人は再発または難治性の患者さんでした。チラブルチニブ480mgを空腹時に1日1回投与し、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続されました。

 その結果、未治療の18人の患者さんの全奏効率は88.9%、再発または難治性の患者さん9人の全奏効率は88.9%でした。6か月時点の無増悪生存率および全生存率に関しては、全患者さんで100%でした。

 グレード3以上の有害事象は、好中球減少症、リンパ球減少症、白血球減少症が高頻度に認められました。

 チラブルチニブは、BTKを選択的に阻害する分子標的薬です。BTKは、B細胞受容体(BCR)の下流に位置するシグナル伝達物質です。BCRシグナル伝達は、B細胞系リンパ球細胞の生存や活性化、増殖、成熟、分化の中心的役割を担っています。チラブルチニブは、このBCRシグナル伝達経路の下流にあるBTKと結合することでBTKを阻害し、がん細胞の増殖シグナルを遮断して破壊します。

 また、同薬は11月27日に、ONO-4059-05試験の結果に基づき、WMとLPLに対する効能・効果で国内製造販売の承認申請が行われています。