細胞不死化酵素「テロメラーゼ」に新しいがん化機能

文:がん+編集部

 細胞不死化酵素「テロメラーゼ」に新しいがん化機能があることが発見されました。全く新しいがん治療法の開発が期待されます。

テロメラーゼの新たな機能を抑制する新しいがん治療法の開発に期待

 金沢大学は3月26日、細胞不死化酵素として知られている「テロメラーゼ」に、がん化に深く関わる新しい機能があることを明らかにしたと発表しました。同大附属病院総合診療部の山下太郎准教授、医薬保健研究域医学系の金子周一教授、国立がん研究センター研究所がん幹細胞研究分野の増富健吉分野長、東北大学大学院医学系研究科の加藤幸成教授らの共同研究グループによるものです。

 がん細胞の特徴として、何度でも細胞分裂を続けることができる「細胞不死化能」があります。細胞不死酵素として発見されたテロメラーゼは、発がんに関与していることがわかっていましたが、テロメラーゼを標的とした治療薬の開発は行き詰まっており、異なる酵素活性の存在が示唆されていました。

 研究グループは、テロメラーゼとの関連が示されている肝臓がんと膵臓がん患者さんの手術検体を用いて解析。その結果、テロメラーゼの新たながん化機能が、肝臓がんや膵臓がんのうちでも悪性度が高いものほど活発であり、この機能の作用が強いほど予後が悪いことが明らかになりました。また、「CDK1」という分子が新たな酵素活性を制御していることも見いだしました。さらに、テロメラーゼの新たな機能を失った細胞を作成し、マウスに移植したところ、がん化しないことが確認されました。

 今回の研究成果により、テロメラーゼの新たな機能を抑制する全く新しいタイプのがん治療法の開発が期待されます。