切除可能な肺がんの早期診断を可能にする血液検査の診断モデルを開発

文:がん+編集部

 切除可能な肺がんがある患者さんで有意に変化する複数の血中マイクロRNAを特定し、そのうち2種類のマイクロRNAを組み合わせることで、切除可能な肺がんかどうかを高精度で診断できるモデルが作成されました。

病期や組織型に関わらず高精度に診断

 東京医科大学は3月31日、99.6%という高精度で切除可能な肺がんを診断できるモデルを作成したことを発表しました。同大医学総合研究所分子細胞治療研究分野の落谷孝広教授と国立がん研究センター中央病院・呼吸器外科の研究チームによるものです。

 肺がんの5年相対生存率は1期で81.6%ですが、4期では5.2%まで低下するため、早期診断が重要です。現在、死亡者率を下げる検査として胸部CT検査が有用であるという報告がありますが、がんではない影も見つけてしまう偽陽性率が高いため、より簡便で高精度な検査が求められています。

 研究グループは、切除可能な肺がん患者さん1,566人と健常者2,178人の血清中のマイクロ RNA2,588種類の網羅的発現解析を行いました。その結果、切除可能な肺がん患者さんで変化する2類のマイクロRNAを特定し、それらを組み合わせることで99.6%という高精度に診断できるモデルを作成しました。

 さらに、この診断モデルは、病期や組織型に関わらず高精度で切除可能な肺がんを診断できることもわかりました。病期ごとに、1A期96.1%、1B期93.7%、2A期97.3%、2B期96.7%、3A期90.2%、3B期83.3%、4期100%でした。組織型別では、腺がん95.1%、扁平上皮がん94.2%、小細胞がん90.9%でした。

 本研究成果について、国立がん研究センター中央病院呼吸器外科の渡辺俊一科長は、次のように述べています。

 「一般に予後不良といわれる肺がんですが、早期発見できれば手術で根治することが可能です。現在、肺がんの早期診断に有効とされているCT検診には、高い偽陽性率(がんではない影も多く見つけてしまう)という課題があります。本研究は、血液を用いて肺がんをより高精度で診断できる可能性を示した点で意義があります。今後さらに研究を発展させ、肺がんの早期発見と治療成績向上に寄与することが期待されます」