ビラフトビとアービタックス併用、BRAF陽性の転移性大腸がんに対してFDAが承認

2020/04/28

文:がん+編集部

 治療歴のあるBRAF遺伝子変異陽性の転移性大腸がんに対する、エンコラフェニブ(製品名:ビラフトビ)とセツキシマブ(製品名:アービタックス)併用療法が、米国食品医薬品局(FDA)から承認されました。

BEACON CRC試験で、全生存期間は対照群より長く、奏効率を20%改善

 米ファイザー社は4月8日、エンコラフェニブとセツキシマブ併用療法が、治療歴のあるBRAFV600E遺伝子変異陽性の転移性大腸がんに対する治療薬としてFDAが承認したことを発表しました。今回の承認は、第3相BEACON CRC試験の結果に基づくものです。

 BEACON CRC試験は、1または2レジメンの治療後に病勢進行し、FDAが承認した検査法で検出されたBRAFV600E遺伝子変異陽性の転移性大腸がん患者さんが対象。エンコラフェニブ+セツキシマブ併用療法、エンコラフェニブ+セツキシマブ+ビニメチニブ(製品名:メクトビ)併用療法、イリノテカン+セツキシマブもしくはFOLFIRI+セツキシマブの3つの治療法を比較した臨床試験です。

 解析の結果、エンコラフェニブとセツキシマブの併用療法群の全生存期間の中央値は8.4か月で、対照療法群(セツキシマブとイリノテカンもしくはセツキシマブとFOLFIRIを含むレジメン)では5.4か月でした。また、対照療法群の奏効率2%と比較して、エンコラフェニブとセツキシマブの併用療法群では 20%の改善を示しました。さらに、無増悪生存期間の中央値は、エンコラフェニブとセツキシマブの併用療法群で4.2か月、対照療法群で1.5か月でした。

 安全性に関しては、25%以上に認められた最も一般的に報告された副作用は、疲労、悪心、下痢、ざ瘡様皮膚炎、腹痛、食欲減退、関節痛および発疹でした。

 テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター、消化器腫瘍内科のスコット・コペッツ准教授は、次のように述べています。

 「BRAF遺伝子変異陽性は、転移性大腸がん患者さんの15%以下で発症すると推定されており、これらの患者さんの予後は不良です。ビラフトビとセツキシマブの併用療法は、治療歴を有するBRAFV600E遺伝子変異陽性の転移性大腸がん患者さんにとって、初めてで唯一の標的レジメンであり、大変必要とされている新たな治療選択肢となります」