HER2陽性の進行大腸がんに対する「トラスツズマブ デルクステカン」を評価した第2相臨床試験の結果をASCOで発表

2020/06/30

文:がん+編集部

 HER2陽性の進行大腸がんを対象に、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8021)の有効性と安全性を評価した第2相DESTINY-CRC01試験の結果が米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表されました。

DESTINY-CRC01試験の結果、奏効率45.3%、病勢コントロール率83.0%、無増悪生存期間6.9か月

 第一三共とアストラゼネカは6月1日、HER2陽性で切除不能・再発または転移性の大腸がん患者さんに対し、抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカンを評価したDESTINY-CRC01試験の結果をASCOで発表したと明らかにしました。

 DESTINY-CRC01試験は、HER2陽性かつRAS/BRAF遺伝子陰性で、少なくとも2回以上の標準治療歴がある大腸がん患者さんを対象とした臨床試験です。主要評価項目は奏効率、副次的評価項目は薬物動態、無増悪生存期間、全生存期間、奏効期間、病勢コントロール率、安全性などでした。

 HER2陽性で4回の前治療歴がある患者さん53人を解析した結果、奏効率45.3%、病勢コントロール率83.0%、無増悪生存期間(中央値)6.9か月でした。抗HER2療法の治療歴がある患者さん16人の解析では、奏効率が43.8%でした。奏効期間と全生存期間の中央値は未達です。

 安全性に関しては、対象患者さん78人で認められたグレード3以上の有害事象は、好中球数減少(25.6%)、貧血(14.1%)などでした。間質性肺疾患に関しては、5人の患者さんが治療と関連があると認められ、そのうちグレード2が2人、グレード3が1人、グレード5が2人でした。

 同社とアストラゼネカは、「大腸がん患者さんへ本剤を1日でも早く提供できることを期待しております」と述べています。