急性リンパ性白血病を対象としたCAR-T細胞療法の安全性に関する臨床第1相試験のコホート1が終了

文:がん+編集部

 急性リンパ性白血病に対するCAR-T細胞療法の安全性を検証する臨床第1相試験のコホート1が終了。タイのチュラロンコン大学で、治療抵抗性悪性リンパ腫に対するCAR-T細胞療法の臨床試験が開始されました。

CD19陽性急性リンパ性白血病、16歳以上の患者さんで安全性と一定の有効性を確認

 日本医療研究開発機構は3月1日、「piggyBacトランスポソン法」と呼ばれる遺伝子導入法を用いて作製されたCAR-T細胞を、急性リンパ性白血病において検証する第1相試験のコホート1が終了し、安全性と一定の有効性が確認されたことを発表しました。名古屋大学大学院医学系研究科小児科学分野の高橋義行教授、先端医療開発部の西尾信博特任講師らの研究グループによるものです。

 今回研究グループは、piggyBacトランスポソン法という遺伝子導入法によるCAR-T細胞の作製方法を開発。この製造方法は、より簡便で低コスト化が可能、かつ従来の製造方法と同等の治療効果も期待できると考えられています。

 第1相試験のコホート1は、化学療法抵抗性または造血細胞移植後再発性のCD19陽性急性リンパ性白血病の16歳以上の患者さん3人を対象に、CAR-T細胞療法の安全性の確認を目的に実施されました。その結果、安全性と一定の有効性が確認できたことから、1歳から15歳の患者さんを対象とした第2コートに移行しました。また、名古屋大学が支援しているタイのチュラロンコン大学で、治療抵抗性の悪性リンパ腫に対するCAR-T細胞療法の臨床試験が開始されました。

 研究グループは今後の展開として、次のように述べています。

 「多くの患者さんに本治療を届けるため、本治療法の保険収載を目指しています。株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)は2018年6月に名古屋大学・信州大学とライセンス契約を締結、本技術を導入し、ALLに対するCD19.CAR-T細胞(開発コード:JPCAR019)の臨床治験を来年度に開始する準備を進めています。また、悪性リンパ腫に対しても、同時期にJPCAR019を用いた医師主導治験の開始することを目指して準備しています。さらに、CARの抗原認識部位を変更することにより、他の固形腫瘍などを標的としたCAR-T細胞製剤にも応用していくことが可能となります。国際協力として、規制やコストの問題でウイルスベクターによるCAR-T製造が困難なタイをはじめとした東南アジアの国においても本製造法を用いてCAR-T細胞療法が実施できるように引き続き支援を行います。タイでの臨床試験の安全性情報はお互いに共有して日本における製造販売承認申請時の参考資料とする予定です」