急性骨髄性白血病などを対象に新たなCAR-T細胞療法の医師主導治験が始動

文:がん+編集部

 急性骨髄性白血病や若年性骨髄単球性白血病を対象に、GM-CSF受容体を標的とするCAR-T療法の医師主導治験が信州大学で開始されます。GM-CSF受容体を標的としたCAR-T療法は世界初です。

より効率的で安価、安全にCAR-T細胞を製造できる手法を開発

 信州大学は3月23日、急性骨髄性白血病や若年性骨髄単球性白血病の患者さん対象の、GM-CSF受容体(GMR)を標的とする自家キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法の第Ⅰ/Ⅱ相医師主導治験を開始すると発表しました。同大医学部附属病院小児科教授の中沢洋三教授らの研究グループによるものです。

 CAR-T細胞療法は、がん患者さんの免疫細胞の1つT細胞を体外に取り出し、このT細胞にがん細胞に対する特異性と攻撃力を高める遺伝子を組み込んで培養したCAR-T細胞を患者さんの体内に戻す治療法です。がん免疫療法と遺伝子治療の長所を組み合わせているのが特徴で、有望な次世代がん治療法と考えられています。

 T細胞に標的となる遺伝子を運ぶ「運び屋」として「ウイルスベクター」が使われますが、中沢教授らは、ウイルスベクターを使わず、CAR-T細胞を製造する技術「piggyBac法」を新たに開発。この方法は、効率的で安価、安全にCAR-T細胞を製造できる技術として国際的に高く評価されています。

 今回標的としたGMRは、急性骨髄性白血病で63~83%、若年性骨髄単球性白血病では100%発現することがこれまでの研究からわかっています。また、研究グループは、GMRを標的としたCAR-T療法により、若年性骨髄単球性白血病患者さん由来の白血病細胞の増殖を強力に抑制できることを2016年に報告しています。

 18歳以上のCD116陽性骨髄系腫瘍の患者さんから投与が開始され、安全性に問題ないと判断された場合に、1歳以上18歳未満の患者さん(コホート2)へと移行します。

 研究グループは、発表に際し、次のように述べています。

 「シーズ開発から、治験製品の製造・品質管理、FIH(ヒト初回投与)医師主導治験までを単一アカデミアで行うオールイン・ワン型創薬は、今後の日本のCAR-T細胞開発を加速させる新しいモデルになると考えています」