LSD1酵素、白血病の病型に応じた代謝個性を生み出す

文:がん+編集部

 遺伝子発現に関わる「LSD1酵素」が、急性骨髄性白血病細胞の病型に応じた代謝の個性を生み出していることが明らかになりました。

LSD1と代謝経路を標的にした、特異性の高い治療が実現する可能性

 熊本大学は5月7日、遺伝子発現に関わる酵素「リジン特異的脱メチル化酵素1(LSD1)」が、急性骨髄性白血病細胞の病型に応じた代謝の個性を生み出すことを明らかにしたことを発表しました。同大発生医学研究所細胞医学分野の興梠健作研究員、日野信次朗准教授、中尾光善教授らの研究グループによるものです。

 急性骨髄性白血病は、造血幹細胞が白血球や赤血球に分化する途中で腫瘍化することで発症しますが、分化のどの段階で腫瘍化するかで多様な病型に分類されます。一部の急性骨髄性白血病では病態に応じた分子標的療法が開発されていますが、赤芽球性白血病をはじめとする多くの病型では個別の治療法がないため死亡率が高く、治療法の開発が望まれています。

 研究グループはこれまでに、LSD1酵素がメチル化されたヒストンからメチル基を除去する働きを持ち、さまざまな細胞種でエネルギー代謝の調節に関わることを明らかにしていました。

 今回の研究では、赤芽球性白血病でLSD1酵素が多く存在していることを明らかにしました。また、赤芽球性白血病細胞では、LSD1酵素が遺伝子発現を促進し特徴的な代謝の個性を生み出していることを発見しました。

 研究グループは今回の発表について、次のように述べています。

 「LSD1阻害薬と代謝経路を標的とした薬剤の併用により、白血病の病型に応じた特異性の高い治療戦略が期待できます」