免疫チェックポイント阻害薬による「下垂体副作用」、事前予測が可能に

文:がん+編集部

 がん患者さんの血液を解析することで、免疫チェックポイント阻害薬による下垂体副作用の発症を事前に予測できる可能性があることがわかりました。

抗下垂体抗体やHLAが下垂体副作用のリスクを判別する指標となる可能性

 名古屋大学は5月20日、免疫チェックポイント阻害薬による下垂体副作用の発生を予測する指標を明らかにしたと発表しました。同大医学部附属病院糖尿病・内分泌内科の小林朋子病院助教、岩間信太郎講師、医学系研究科糖尿病・内分泌内科学の有馬寛教授らの研究グループによるものです。

 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対する免疫抑制を解除することで抗がん作用を示すがん免疫治療薬。日本では悪性黒色腫、肺がん、腎がん、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、胃がん、尿路上皮がん、乳がんなどで近年保険適用されています。

 一方、免疫チェックポイント阻害薬による免疫抑制の解除が、自己の臓器で発生することにより生じる副作用「免疫関連有害事象」が問題となっています。このうち、下垂体に起こる副作用「下垂体機能低下症」は重篤で死亡例も報告されています。研究グループは先行研究で、下垂体副作用は「ACTH単独欠損症」と「下垂体炎」の2つの臨床的特徴があることを報告しています。

 研究グループは、同大医学部附属病院で2015年11月以降に免疫チェックポイント阻害薬を使用した患者さんのうち、下垂体副作用を発症した22人と発症しなかった40人を対象に、抗下垂体抗体とヒト白血球抗原(HLA)を解析しました。

 その結果、治療前の抗下垂体抗体の保有率はACTH単独欠損症で有意に高い(64.7%)こと、下垂体炎では治療前の抗下垂体抗体は陰性で、薬剤投与後に陽転化する(80.0%)ことが明らかとなりました。また、HLA解析から、ACTH単独欠損症および下垂体炎を発症した患者さんで高頻度に認められる型がそれぞれ見つかりました。

 研究グループは次のように述べています。

 「この結果から、抗下垂体抗体およびHLAは、下垂体副作用ハイリスクの患者さんを判別する指標となる可能性が示唆されました。本結果は、現在急速に拡大している免疫チェックポイント阻害薬の副作用マネジメントにおいて極めて重要と考えられます」