肝細胞がんに対する免疫チェックポイント阻害薬、有効性予測の数値化に世界で初めて成功

文:がん+編集部

 肝細胞がんに対し、免疫チェックポイント阻害薬の有効性を数値化して予測することに世界で初めて成功しました。

免疫チェックポイント阻害薬を軸とした肝細胞がんに対する個別化医療への活用に期待

 近畿大学医学部は6月10日、肝細胞がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の有効性の予測を目指した研究結果を発表しました。同大学医学部内科学教室の西田 直生志教授、工藤 正俊主任教授らを中心とする研究グループによるものです。

 肝細胞がんの薬物療法では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を軸にした治療が行われていますが、これまでそれぞれの薬の効果を予測することは困難でした。また、肝細胞がんでは、がん遺伝子「β-カテニン」の変異が多いことが知られており、β-カテニン変異のある患者さんでは免疫チェックポイント阻害薬の効果が弱いことが報告されています。

 研究グループは、免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体による治療を受けた34人の肝細胞がん患者さんのがん組織を解析。その結果、がん組織にリンパ球が多く、さらに免疫チェックポイント分子が多く発現している場合は、免疫チェックポイント阻害薬の反応が良好でしたが、β-カテニンシグナルが活性化したがんでは、免疫チェックポイント阻害薬の効果が落ちる可能性があることがわかりました。

 さらに、「免疫チェックポイント分子の発現」「がん組織のリンパ球の浸潤」「β-カテニンシグナルの活性化」によって、いずれの所見もないグループ、所見が1つのグループ、所見が2つ以上の3グループに分類して調べました。その結果、免疫チェックポイント阻害薬の治療開始後に再び腫瘍が大きくなるまでの日数に違いがあること、増悪までの日数が最も長いグループと最も短いグループで4倍以上の開きがあることが確認されました。

 研究グループは、次のように述べています。

 「本研究の成果は、免疫チェックポイント阻害薬を軸とした肝がん治療において、有効性の高い症例を予測し、効果が高い薬剤の選択に繋がるもので、治療への活用が大いに期待されます」