新規遺伝子診断薬「AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル」が国内承認

文:がん+編集部

 新規遺伝子診断薬「AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル」が承認。5つの治療標的遺伝子を迅速に診断することができる遺伝子検査です。

進行肺がんから採取した微量な検体でも、5つの遺伝子を同時にかつ迅速に検査することが可能

 国立がん研究センターは8月17日、「AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル」が5つの標的遺伝子に対する診断薬として国内承認されたことを発表しました。肺がん遺伝子スクリーニングネットワーク「LC-SCRUM-Asia」の研究結果に基づくものです。

 EGFR、ALK、ROS1、BRAF、METの5つの遺伝子に異常がある進行非小細胞肺がんに対し、それぞれの遺伝子異常を標的とした分子標的薬を初回治療として使用することが、「肺癌診療ガイドライン」で強く推奨されています。そのため、進行肺がんでは治療前の遺伝子検査が必須となっていますが、これまでは個々の遺伝子を1つずつ検査する方法が行われていました。

 複数の遺伝子を一度に診断できる次世代シーケンサーを使った遺伝子パネル検査が国内で承認されていますが、次世代シーケンサーを使った遺伝子パネル検査では、診断結果がでるまでに約2~3週間かかったり、検査するための検体の質や量不足などの問題がありました。

 LC-SCRUM-Asiaでは、2021年6月までに1万3,000人以上の肺がん患者さんに対し、肺がんの新しい治療薬、診断薬の臨床応用を目指して、大規模な遺伝子解析を行ってきました。2019年6月からは、「AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル」を遺伝子解析検査として導入し、診断薬の診断精度や有用性を検討しました。また、同検査を開発した株式会社Precision Medicine Asiaからの委託研究として、LC-SCRUM-Asiaに蓄積された検体と遺伝子解析データを活用して臨床性能評価を行いました。その結果、複数の肺がん標的遺伝子について極めて良好な診断性能を有し、臨床応用が可能であると評価されました。

 今回の承認により、進行肺がんから採取した微量な検体でも、複数の遺伝子を同時にかつ迅速に検査することができるようになります。日本国内の進行肺がん患者さんへ有効な治療薬をより早く、より確実に届けることが可能になり、肺がんにおける最適医療(プレシジョン・メディシン)の発展に大きく貢献することが期待されています。