FGFR陽性の進行・再発固形がんを対象に、全国5施設で医師主導治験を開始

文:がん+編集部

 がん遺伝子パネル検査を受けて見つかったFGFR遺伝子異常がある進行・再発固形がん患者さんを対象に、北海道、東北、関東、関西、九州の全国5施設で医師主導治験が開始されます。

治験実施が困難とされる希少な遺伝子異常がある患者さんへの治療開発に期待

 国立がん研究センター中央病院は9月7日、がんに関連する遺伝子変異を網羅的に調べるがん遺伝子パネル検査で検出可能なFGFR遺伝子異常がある固形がん患者さんを対象とした医師主導治験を、同院のほか北海道大学病院、東北大学病院、京都大学医学部附属病院、九州大学病院の全国5施設で実施することを発表しました。

 今回実施が発表された医師主導の「NCCH2006/FORTUNE試験」は、FGFR遺伝子異常がある進行・再発固形がんに対する、FGFRの選択的阻害薬「E7090」単剤療法の有効性と安全性を評価する多施設共同の第2相試験です。主要評価項目は中央判定による奏効割合、副次的評価項目は施設判定による奏効割合、無増悪生存期間、全生存期間、病勢コントロール率、有害事象発現割合などです。

 線維芽細胞増殖因子受容体「FGFR」は、細胞膜に存在するタンパク質です。FGFR遺伝子異常には、融合、変異、増幅などがあり、遺伝子の異常により機能が活性化されると、がん細胞の増殖、生存、遊走、腫瘍血管新生、薬剤耐性などが起こると考えられています。FGFR遺伝子異常は、肺がん、乳がん、子宮体がん、胃がん、膀胱がん、胆管がん、脳腫瘍などさまざまな腫瘍で報告されており、国立がん研究センター中央病院で行われた研究では、がん遺伝子パネル検査が行われた187人中(30種類以上の腫瘍を含む)8人の患者さんでFGFR遺伝子異常が検出されました。

 FGFR遺伝子異常に対する治験は、がん種別では患者数が少なく実施が困難でしたが、FGFR遺伝子異常のある固形がん患者さんを対象にすることで、治験を実施することが可能になります。治験の実施が困難とされる希少な遺伝子異常がある患者さんへの治療開発を進め、がん遺伝子パネル検査による治療選択を増やすことで、がんゲノム医療の加速が期待されます。