HSP90阻害剤薬ピミテスピブ、GIST治療薬として国内申請
2021/10/09
文:がん+編集部
HSP90阻害剤薬ピミテスピブ(開発コード:TAS-116)が、消化管間質腫瘍(GIST)に対する治療薬として承認申請されました。
ピミテスピブ、プラセボと比較して無増悪生存期間を有意に延長
大鵬薬品工業は9月14日、経口HSP90阻害薬ピミテスピブを、「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」に対する製造販売承認の申請を厚生労働省に行ったことを発表しました。今回の承認申請は、CHAPTER-GIST-301試験の結果に基づくものです。
CHAPTER-GIST-301試験は、標準治療薬に不応または不耐と判断されたGIST患者さんを対象に、ピミテスピブとプラセボを比較した第3相試験です。GISTに対してイマチニブ(製品名:グリベック)、スニチニブ(製品名:スーテント)およびレゴラフェニブ(製品名:スチバーガ)の治療歴がある20歳以上の81人を対象に、日本で実施されました。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、安全性、QOLなどでした。
試験の結果、ピミテスピブはプラセボと比較して無増悪生存期間を有意に延長しました。安全性に関しても、問題となるような有害事象は認められませんでした。
ピミテスピブは、HSP90を標的とした分子標的薬です。HSP90はストレスに反応して発現が上昇し、タンパク質の機能的構造の形成や促進、維持を通じて細胞をストレスから守ります。HSP90はがん細胞や腫瘍組織に多く発現しており、活性の高い状態で存在することから、特にがんの生存・維持に重要であることが知られています。ピミテスピブは、このHSP90を阻害することで、がんの増殖や生存などにかかわるタンパク質を不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を発揮します。