キイトルーダ、ステージ2の高リスク悪性黒色腫に対する術後補助療法として無再発生存期間を改善
2021/11/11
文:がん+編集部
ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)を、ステージ2の高リスク悪性黒色腫の術後補助療法として評価したKEYNOTE-716試験で、無再発生存期間の改善が認められました。
キイトルーダ、プラセボに対し再発または死亡リスクを35%低下
米メルク社は9月18日、ステージ2の高リスク悪性黒色腫患者さんの術後補助療法としてペムブロリズマブを評価したKYENOTE-716試験の第1回の中間解析の結果を発表しました。
KYENOTE-716試験は、ステージ2の高リスク悪性黒色腫の術後患者さんを対象に、術後補助療法としてペムブロリズマブを評価する2つのパートで構成された第3相試験です。主要評価項目は無再発生存期間、副次的評価項目は無遠隔転移生存期間、全生存期間、安全性、探索的評価項目はQOLでした。
パート1では、対象患者さんに対し二重盲検※で、ペムブロリズマブとプラセボを比較するために、ペムブロリズマブ200mg(小児患者さんでは2mg/kg・最大200mg)を3週間ごとに最長約1年の治療が行われました。パート2は非盲検で行われ、適格な患者さんに対しペムブロリズマブが最長約2年間、追加投与されました。適格基準は、プラセボ投与後に再発した患者さん、またはペムブロリズマブの投与が約1年間完了したあと6か月以内に再発が認められなかった患者さんとされました。。
第1回の中間解析の結果、ペムブロリズマブはプラセボに対し、再発または死亡リスクを35%低下しました。14.4か月間の追跡調査後の再発または死亡した患者さんの割合は、ペムブロリズマブ11.1%、プラセボ16.8%で、遠隔転移が認められた患者さんの割合は、ペムブロリズマブ4.7%、プラセボ7.8%でした。
安全性に関しては、これまでに報告された安全性プロファイルと一貫していました。治療に関連した有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ79.9%、プラセボ60.9%で、グレード3または4の有害事象発現率は、ペムブロリズマブ16.1%、プラセボ4.3%でした。
UPMC Hillman Cancer CenterのCancer Immunotherapeutics Centerディレクター、Jason Luke博士は、次のように述べています。
「2B期または2C期の悪性黒色腫と診断された患者さんでは、完全切除後の再発リスクが高く、5年生存率は3A期または3B期の患者さんとほぼ同じですが、全身療法の選択肢がないため経過観察が標準治療となっています。KEYNOTE-716試験では、高リスクステージ2悪性黒色腫の術後患者さんにおいて、術後補助療法としてのペムブロリズマブによりプラセボと比較して再発または死亡が有意に減少するという有望な結果が得られました。ペムブロリズマブが承認されれば、このような患者さんにとって新たな治療選択肢になるものと期待されます」
※二重盲検 医師も患者さんもどちらの治療をうけているかがわからない状態。